糖尿病性腎症とは?症状・ステージ・食事管理までわかりやすく解説
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日本赤十字社医療センター、虎の門病院で産婦人科医として臨床経験を積む。「忙しく頑張っている人がもっと気楽に相談できる場所を作りたい」との想いを胸に、2024年11月、オンライン診療専門のシンクヘルスクリニックを開院。
内科、皮膚科、医療用漢方、婦人科など、受診者の悩みに幅広く対応。心のケアも大切に、一人ひとりが安心して自分の体と向き合えるようサポートしている。
目次
1 症状がなくても進行する糖尿病性腎症に注意
1.1 糖尿病性腎症とはどんな病気?
1.2 慢性腎臓病(CKD)との違いは?
2 進行度を示すステージ分類と症状
3 基本的な治療と食事管理のポイント
3.1 血糖・血圧管理
3.2 薬物療法
3.3 食事療法
4 早めのチェックと継続的な治療で腎臓を守る
4.1 定期的な検査の重要性
4.2 かかりつけ医との連携
5 通院の負担を減らし、治療を継続するために
6 まとめ
「糖尿病と診断されたけれど、特に症状はないから大丈夫」と感じていませんか。糖尿病の合併症は自覚症状がないまま静かに進行し、特に注意したいのが「糖尿病性腎症」です。
この病気は進行すると腎機能が悪化し、最終的に週に数回の「人工透析」が必要になることもあります。透析は週に3回、1回4~5時間を費やす必要があり、拘束時間が長いことからそれまでの生活が一変します。
もし、働き盛りの方や、子育て世代の方が透析を必要とすることになったら、生活費や今後のキャリア、子供の世話が今まで通りできないなど、不安がつきませんよね。
さらに、国からの補助により透析患者の自己負担額は月1~2万円ですが、健康保険の負担金額を含めると約月40万円と、かなり高額の医療費がかかります。
そのため、国全体の透析の年間医療費は約1.68兆円と、現代の医療費を圧迫する原因の一つといえます。透析導入患者の約40%が糖尿病性腎症の方なので、今後医療費がさらに増加させないためにも、糖尿病になってから腎症、透析に移行しないことが重要です。
一方で、早期発見と適切な対策により腎臓を守ることで、将来のリスクを大幅に減らすこともできるのです。
この記事では、糖尿病性腎症の基本知識、ステージごとの症状や治療、食事のポイントまでを解説します。ご自身の健康を守るため、ぜひ最後までお読みください。
| 症状がなくても進行する糖尿病性腎症に注意
糖尿病治療の大きな目標は良好な血糖管理をし、深刻な合併症を防ぐことです。
なかでも糖尿病性腎症は、初期には自覚症状がほとんど現れず、気づかないうちに病状が進行します。むくみや倦怠感が出たときには、腎機能がかなり低下しているケースも少なくありません。
まずは、この糖尿病性腎症がどのような病気なのか、その基本から見ていきましょう。
| 糖尿病性腎症とはどんな病気?
糖尿病性腎症は、長年の高血糖が原因で腎臓の血管が傷つき、腎臓の機能が悪くなる病気です。
腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として排泄するフィルターの役割を担っています。この機能が損なわれると、体に必要なタンパク質が尿に漏れたり、老廃物を排出できなくなったりします。
現在、日本で透析を始める原因の第1位はこの糖尿病性腎症です。しかし、定期的な検査で進行度を把握し、適切な治療を継続すれば、腎臓の機能を長く保てます。
| 慢性腎臓病(CKD)との違いは?
慢性腎臓病(CKD)とは、腎臓の障害や機能低下が3かヶ月以上続く状態の総称です。
つまり、糖尿病性腎症は、数ある慢性腎臓病の最も主要な原因の一つとされています。糖尿病の方は、定期的な腎臓のチェックがCKDの早期発見に直結するため、非常に重要です。
| 進行度を示すステージ分類と症状
糖尿病性腎症は、主に尿検査の「尿中アルブミン値」と、血液検査から算出する「eGFR(推算糸球体濾過量)」で進行度を判断し、いくつかのステージ(病期)に分けられます。
第2期(早期腎症期):尿に微量のアルブミンが検出されます。
第3期(顕性腎症期):尿に多量のタンパク尿が確認され、腎機能も低下し始めます。(eGFRが60未満)
第4期(腎不全期):腎機能の低下がさらに進み(eGFR 30未満)、貧血やむくみなどの症状が出現します。
第5期(末期腎不全期):腎臓がほぼ機能しなくなり、透析療法や腎移植が必要となります。
ステージが進む前に適切な対策をとることが、腎臓を守る鍵です。
ステージを進行させないためには、定期的に受診をして良好な血糖管理を保つことが重要です。しかし、日々の忙しさから通院の間隔が空いてしまうこともあるでしょう。
そんなときは、オンラインで受診するという選択肢もあります。当院では糖尿病の方の血糖管理をオンラインでサポートしています。
必要なお薬もご自宅へお届けするか、お近くの薬局で受け取り可能です。
もっと気軽に受診したい、薬の相談をしたいという方はぜひ一度ご検討していみてはいかがでしょうか。
| 基本的な治療と食事管理のポイント
治療の基本は、どのステージでも「血糖管理」と「血圧管理」です。これらに加え、ステージに応じて薬物療法や食事療法を行います。
| 血糖・血圧管理
良好な血糖状態を維持し、厳格に血圧を管理するため、必要に応じて血糖降下薬や降圧薬を使用します。
| 薬物療法
近年では、GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬など血糖値を改善しながら、腎臓機能の保護が期待できる薬も登場しているのです。
GLP-1受容体作動薬は血糖値の改善に加えて、心臓や血管を保護する効果があるため、腎症のリスクを低減させることが期待されています。
また、SGLT2阻害薬は尿に糖を排泄する作用によって、腎臓の負担を減らし、腎症の進行を抑えることが明らかになっています。
| 食事療法

尿に多量のタンパク尿が確認され、腎機能も低下し始める第3期以降では、腎臓の負担を減らす食事管理が重要です。
たんぱく質制限:たんぱく質は腎臓の負担になるため、医師や管理栄養士の指導のもと、肉・魚・卵などの摂取量を調整します。
カリウム制限:腎機能の低下が進むと、カリウムの排泄が滞りがちになります。不整脈を防ぐため、場合によっては生野菜や果物などの摂取に注意が必要です。
適正なエネルギー摂取:やせすぎても糖尿病が悪化してしまうので、体格に合ったカロリー管理が必要です。
食事については必ず専門家と相談し、適切な管理を心がけましょう。
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| 早めのチェックと継続的な治療で腎臓を守る
糖尿病性腎症の進行を防ぐには、定期的な検査と治療の継続が不可欠です。将来の健康を守るためには、症状がないうちからの対策が最も効果的です。
| 定期的な検査の重要性
腎症の初期サインは、自覚症状ではなく検査数値に現れます。そのため、定期的に以下の検査を受けることが非常に重要です。
血液検査:「eGFR」を算出することで、腎臓全体の働きを評価します。
これらの検査はかかりつけのクリニックで簡単に行えます。結果に変化が見られたら、放置せずに必ず医師に相談しましょう。
| かかりつけ医との連携
血糖、血圧、腎機能を総合的に判断し、一人ひとりに合った治療を行うには、かかりつけ医との連携が欠かせません。治療の不安や生活での困りごとを気軽に相談し、二人三脚で治療を続けていくことが大切です。
| 通院の負担を減らし、治療を継続するために
「定期受診が大切なのはわかるけど、忙しくて時間が作れない…」という方も多いでしょう。当院では、患者様が無理なく治療を続けられるよう、オンライン診療によるサポートを行っています。
オンライン診療なら、ご自宅や職場からスマートフォンなどで医師の診察を受けられますよ。
通院時間の短縮:移動や待ち時間がなくなり、時間を有効活用できます。
継続的なサポート:定期的な診察や薬の処方を、ご都合に合わせて受けやすくなります。
もちろん、必要に応じて対面診療も組み合わせ、きめ細やかな医療の提供が可能です。治療の中断は合併症の大きなリスクです。通院の負担を感じている方は、ぜひ一度オンライン診療をご検討ください。
| まとめ
今回は、糖尿病性腎症について解説しました。この病気は早期発見と適切な対応で進行を食い止め、将来の透析リスクを大きく減らすことが可能です。
あなたの腎臓を守るため、今日からできるチェックポイントは以下の3つです。
血糖・血圧の管理を徹底する:医師の指導のもと、目標値を維持しましょう。
食生活を見直す:特に塩分の摂りすぎに注意し、バランスの良い食事を心がけましょう。
「症状がないから」と安心せず、ご自身の体を大切にするため、まずはかかりつけ医への相談と定期検査から始めてみてください。それが、自分らしい生活を長く続けるための確実な一歩となります。
参考文献
「糖尿病性腎症病期分類 2023(委員会報告PDF)」
国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター 糖尿病腎症
厚生労働省 健康づくりサポートネット 糖尿病性腎症
糖尿病性腎症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
糖尿病性腎症重症化予防の最近の動向

