血糖値とはなに?高くなる原因・症状・正常値についても簡単に解説
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執筆者:シンクヘルスクリニック院長 岩佐美穂
共同執筆者:日本内科学会総合内科専門医・日本糖尿病学会専門医 櫻木哲詩
目次
1 血糖値とは
1.1 グルコース値との違い
2 血糖値が高い原因
2.1 上がると症状が出るの?
2.2 下がるとどうなるのか
3 血糖値の正常値や基準値
3.1 食後高血糖について
3.2 血糖値スパイクとはなにか
4 血糖値が高いと言われたら
4.1 血糖値を下げる食品はある?
5 まとめ
健康診断で血糖値が高めといわれると、「もしかして自分は糖尿病なのかな?」と思う方は多いでしょう。
しかし健康診断の結果を見ると、糖尿病とは書かれていません。ひと安心するものの「じゃあ血糖値が高めってどういうこと?」と新たな疑問が生まれます。
そこで今回は血糖値について、わかりやすく解説します。高くなる原因や症状基準となる数値などについて、分かりやすく解説します。
| 血糖値とは
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度を表す数値です。
ご飯やパン、麺類などに含まれる糖質は、消化・吸収されると主にブドウ糖となり、血液によって全身へ運ばれます。ブドウ糖は、私たちの体を動かすための大切なエネルギー源です。
血糖値は常に一定ではありません。食事をすると上がり、時間が経つとインスリンなどの働きによって下がっていきます。また、運動や体調などによっても変化します。
| グルコース値との違い

「グルコース」は日本語で「ブドウ糖」という意味です。
そのため、血液中のグルコース濃度を測ったものが、一般に「血糖値」と呼ばれています。
一方、持続グルコース測定器(CGM)では、血液そのものではなく、皮膚の下にある細胞と細胞の間を満たす「間質液」のグルコース濃度を測定しています。
・CGMのグルコース値:皮下に装着したセンサーで間質液中のグルコース濃度を測定する
CGMで測定するグルコース値は血糖値とよく似た動きをしますが、まったく同じものではありません。血糖値が急激に変化しているときなどには、数値にずれが生じることがあります。
(※)CGM(Continuous Glucose Monitoring:持続グルコースモニタリング)とは、皮膚に装着した小さなセンサーで、皮下の間質液に含まれるグルコースの濃度を継続的に測定する方法です。
| 血糖値が高い原因
血糖値を調節するうえで重要な役割を果たしているのが、「インスリン」というホルモンです。インスリンは膵臓から分泌され、血液中のブドウ糖を筋肉などの細胞に取り込ませることで、血糖値を下げる働きをします。
血糖値を上げるホルモンは数種類ありますが、血糖値を下げるホルモンはインスリンだけです。そのためインスリンの分泌や働きが低下すると、血液中にブドウ糖が残りやすくなり、血糖値が下がりにくい状態になります。
ちなみに、血糖値を上げるホルモンには、グルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンなどがあります。
| 上がると症状が出るの?
血糖値が少し高い程度では、自覚症状がないことも少なくありません。
ただし、糖尿病が進行して血糖値が高くなると、
・水分を多く摂るようになる
・尿の量や回数が増える
・疲れやすくなる
といった症状があらわれることはあります。さらに血糖値が非常に高くなると吐き気や嘔吐、強いだるさ、意識がぼんやりするなど、緊急の治療が必要な状態になることもあります。
また、高血糖の状態が長期間続くと、目や腎臓、神経などに影響し、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害などの合併症につながることがあります。
さらに、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクも高くなります。
下がるとどうなるのか
血糖値が下がりすぎる「低血糖になると、
・脈がはやくなる、動悸がする
・手足がふるえる
・強い空腹感がある
・頭痛がする
・ぼんやりする、強い眠気を感じる
などの症状が現れることがあります。
さらに血糖値が大きく低下すると、意識がもうろうとしたり、けいれんを起こしたり、意識を失ったりすることもあります。
低血糖は、特にインスリンや一部の糖尿病治療薬を使用している方に起こりやすい症状です。健康な方には血糖値を一定に保つ仕組みが備わっているため、日常生活で低血糖を起こすことは通常は多くありません。
ただし、長時間食事をとっていない場合や多量の飲酒、非常に激しい運動など、状況によっては血糖値が低下することがあります。また、病気などが原因となって低血糖が起こるケースもあります。
一方、食後2〜4時間ほどしてから血糖値が低下し、低血糖症状があらわれる「反応性低血糖」がみられることもあります。食後のインスリン分泌などが関係すると考えられていますが、低血糖に似た症状だけで判断することはできません。
こうした症状を繰り返す場合は、自己判断せず医療機関に相談しましょう。
| 血糖値の正常値や基準値
空腹時血糖値は、一般に70〜99mg/dL程度が正常の目安とされています。
空腹時血糖値とは、食事の影響を受けていない空腹の状態で測定した血糖値のことです。健康診断などでは、通常、一定時間食事をとらずに採血します。
空腹時血糖値が100〜109mg/dLの場合は「正常高値」と呼ばれます。正常範囲に含まれるものの、将来的に糖尿病を発症するリスクなどを考慮し、注意して経過をみることが勧められる範囲です。
110〜125mg/dLの場合は、糖尿病の一歩手前にあたる「境界型」の可能性があります。一般には「糖尿病予備群」と呼ばれることもあります。
さらに、空腹時血糖値が126mg/dL以上の場合は、糖尿病の診断基準で「糖尿病型」に該当します。ただし、1回の検査結果だけで糖尿病と診断されるとは限らず、HbA1cなどほかの検査結果とあわせて医師が診断します。
そのため、健康診断などで空腹時血糖値が100mg/dL以上だった場合は、「血糖値がやや高め」と考え、生活習慣を見直したり、必要に応じて医療機関に相談したりするとよいでしょう。
| 空腹時血糖値 | おおよその目安 |
|---|---|
| 70〜99mg/dL | 正常の目安 |
| 100〜109mg/dL | 正常高値 |
| 110〜125mg/dL | 境界型の可能性 |
| 126mg/dL以上 | 糖尿病型 |
| 食後高血糖について

食事をすると血糖値は一時的に上昇しますが、通常はインスリンの働きによって次第に下がっていきます。
しかし、インスリンの分泌が十分でなかったり、インスリンが効きにくくなったりすると、食後の血糖値が必要以上に上昇し、高い状態が続くことがあります。これを「食後高血糖」といいます。
食後高血糖は、糖尿病やその前段階にあたる耐糖能異常でみられることがあります。また、食後の高血糖が続くことは動脈硬化や心血管疾患のリスクと関連すると考えられています。
健康診断などで血糖値の異常を指摘された場合は、空腹時血糖値やHbA1cなども含めて確認し、必要に応じて医療機関に相談しましょう。
| 血糖値スパイクとはなにか
「血糖値スパイク」とは、食後に血糖値が短時間で大きく上昇する状態を表す言葉です。
食事をすると血糖値は上昇しますが、通常はインスリンの働きによって適切な範囲に調整されます。
一方、インスリンの分泌が遅れたり、インスリンが効きにくくなったりすると、食後の血糖値が急激に上昇することがあります。このような食後の大きな血糖変動が、一般に「血糖値スパイク」と呼ばれています。
なお、血糖値が上昇したあとに大きく低下する場合もありますが、「血糖値スパイク」が必ず急上昇と急降下の両方を意味するわけではありません。
また、「血糖値スパイク」は正式な病名や診断名ではなく、主に食後高血糖や血糖値の大きな変動を分かりやすく表現するために使われる言葉です。
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| 血糖値が高いと言われたら
健康診断などで血糖値が高めと指摘された場合は、検査結果を確認するとともに、食事や運動などの生活習慣を見直すことが大切です。
生活習慣を改善する方法としては、
・適度な運動を習慣にする
などが挙げられます。
食事では、自分に合った適量を心がけ、主食・主菜・副菜を組み合わせたバランスのよい食事をとることが大切です。また、朝食を抜いたり、遅い時間に夕食をとったりするなど、不規則な食生活が続かないよう意識するとよいでしょう。
運動も血糖値の改善に役立ちます。食後に適度な運動をすると、筋肉でブドウ糖がエネルギーとして利用されるため、食後の血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。
さらに、運動を継続するとインスリンが効きやすくなり、血糖値をコントロールしやすくなります。筋肉量を維持・増加させることも、糖を利用しやすい体づくりにつながります。
ただし、血糖値が高い原因や適切な対処法は人によって異なります。健康診断で高血糖を指摘された場合や、空腹時血糖値・HbA1cが基準を超えている場合は、必要に応じて医療機関を受診しましょう。
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| 血糖値を下げる食品はある?

特定の食品を食べるだけで、血糖値を直接下げられるわけではありません。
ただし、食後の血糖値が急激に上がりにくい食品を選んだり、食べ方を工夫したりすることはできます。
例えば、糖質の量が多すぎない食品や、食後の血糖値が上がりにくい「低GI食品」を取り入れることで、食後血糖の急上昇を抑えやすくなります。
食物繊維を多く含む野菜や海藻、きのこ類などを取り入れると、食後の血糖値が上がりにくくなることがあります。
また、ご飯やパンなどの炭水化物を多く含む食品を食事の後半に食べる「食べる順番」の工夫も、食後血糖の上昇を抑える可能性があります。
ただし、食べる順番だけで血糖値をコントロールできるわけではありません。食事全体の量や糖質の摂取量、栄養バランスを整えることが基本です。
| まとめ
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度を示す値です。
健康診断などで血糖値が高めと指摘された段階から、食事や運動などの生活習慣を見直すことは、糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防につながります。
血糖値の異常を指摘された場合や、気になる症状がある場合は、医師に相談してみましょう。
当院では、血糖値に関するご相談も受け付けています。通院や待ち時間の負担がなく、ご自宅や職場から安心して受診いただけますので、どうぞお気軽にご相談ください。
参考文献
厚生労働省 生活習慣病などの情報
国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター
J-STAGE CGMとは

日本赤十字社医療センター、虎の門病院で産婦人科医として臨床経験を積む。「忙しく頑張っている人がもっと気楽に相談できる場所を作りたい」との想いを胸に、2024年11月、オンライン診療専門のシンクヘルスクリニックを開院。
内科、皮膚科、医療用漢方、婦人科など、受診者の悩みに幅広く対応。心のケアも大切に、一人ひとりが安心して自分の体と向き合えるようサポートしている。

シンクヘルスクリニック 非常勤医師
櫻木哲詩
資格(日本内科学会認定内科医、日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本フットケア・足病医学会 弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター)
所属学会(日本内科学会、日本糖尿病学会、日本褥瘡学会 在宅ケア推進協会、日本形成外科学会)
鳥取大学医学部にて地域枠一期生として卒業。鳥取県内でも有数の総合病院である山陰労災病院にて、糖尿病内科医として様々な症例を経験し副部長に就任。生まれ育った地域の方々への思いから、より深く地域医療に貢献するべくサクラギクリニックを開院。
専門医としての立場から医学的に最適な治療を考え、患者の生活や家族背景などを踏まえた総合的な判断で治療することを心がけている。


