更年期から始める「骨と足腰」の体メンテ 骨粗しょう症・ロコモを防いで、30年後も自分の足で歩くために
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日本赤十字社医療センター、虎の門病院で産婦人科医として臨床経験を積む。「忙しく頑張っている人がもっと気楽に相談できる場所を作りたい」との想いを胸に、2024年11月、オンライン診療専門のシンクヘルスクリニックを開院。
内科、皮膚科、医療用漢方、婦人科など、受診者の悩みに幅広く対応。心のケアも大切に、一人ひとりが安心して自分の体と向き合えるようサポートしている。
目次
1 更年期から始める「骨と足腰」の体メンテ
2 「転びやすい・膝が痛い・階段がつらい」…それ、年齢のせいだけにしないで
3 【1】骨粗しょう症とロコモは「別もの」ではなく、つながっています
4 【2】なぜ「更年期」が分岐点になりやすいのか
5 【3】まずはセルフチェック:いまの足腰を見える化
6 【4】迷子にならない「3つの優先順位」
7 【5】今日からできる「骨・足腰メンテ」—続く最小セット
8 【6】サプリはどう使う?位置づけは「補助」
9 【7】更年期治療という選択:我慢せず、相談していい
10 【まとめ】骨と足腰は「健康寿命のコア」。更年期からの体メンテで、10年後、30年後が変わる
11 参考文献
| 「転びやすい・膝が痛い・階段がつらい」…それ、年齢のせいだけにしないで
最近、つまずきやすくなった。階段がしんどい。長く歩くと腰や膝が痛い。
そんな変化が出てくると、「私、もう歳かな……」と思ってしまいがちです。
でも実は、更年期前後は“体の土台”が大きく変わりやすい時期。
このタイミングで整えておきたいのが、見た目以上に重要な 「骨」と「足腰(移動機能)」 です。
ロコモ(ロコモティブシンドローム)とは、骨・関節・筋肉など運動器の障害によって移動機能が低下した状態を指し、進行すると将来、介護が必要になるリスクが高まると説明されています。
つまり、いま感じている“足腰の小さな不調”は、10年後・20年後の健康寿命につながるサインかもしれません。
この記事では、骨粗しょう症とロコモをセットで捉え、
・続く対策を始める
・必要なら医療(更年期治療含む)も検討する
・サプリは補助として上手に使う
この流れで、わかりやすく整理します。
※本記事は一般的な情報提供です。症状が強い場合や治療中の方は、医療機関にご相談ください。
| 【1】骨粗しょう症とロコモは「別もの」ではなく、つながっています
骨粗しょう症は、骨密度が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなる状態。
ロコモは、骨・関節・筋肉など運動器の問題によって、立つ・歩くといった移動機能が低下した状態です。
この2つが重なると、次のような負のループが起こりやすくなります。
転ぶと骨折しやすい
外出が減る
筋力・バランスが落ちる
さらに転びやすくなる
だからこそ、骨の状態だけを知る、運動だけ頑張る、では不十分。
「骨+筋肉+バランス」をまとめて整える。これが、いちばんの近道です。
| 【2】なぜ「更年期」が分岐点になりやすいのか
閉経前後の女性では、エストロゲン低下により骨密度が急激に低下しやすいことが知られています。

さらに、更年期のゆらぎによって、
気分が落ち込みやすい
疲れやすくなる
といった変化が重なると、活動量そのものが減りやすくなります。
「運動しなきゃ」と思っても、気力が出ない・外出が面倒になる――それは意志の問題ではありません。
この時期は、無理に頑張るよりも、負担の少ない、小さな努力を続けることがおすすめです。
| 【3】まずはセルフチェック:いまの足腰を見える化

ロコモは、立ち上がりテスト、2ステップテスト、質問票(ロコモ25)などで評価する枠組みが示されています。
ここでは、受診や対策のきっかけになる簡単な目安を。
・階段で手すりが必要になってきた
・家の中でつまずくことが増えた
・以前より歩くのが遅くなった気がする
ひとつでも当てはまれば、「足腰メンテ開始」の合図です。
| 【4】迷子にならない「3つの優先順位」

優先① 転倒を減らす(筋力+バランス)
骨を守る最短ルートは、転ばないこと。下肢筋力とバランスは最優先です。
優先② 骨の材料を切らさない(食事の土台)
骨と筋肉の土台は栄養。
カルシウムだけでなく、ビタミンD、ビタミンK、たんぱく質など、複数の栄養素が関わることが報告されています。
完璧な栄養計算より、「毎食たんぱく質」「乳製品・大豆・小魚を無理なく」といった続く方針が大切です。
優先③ 必要なら医療で底上げ(検査・治療)
骨密度は検査で把握できます。骨折歴がある、リスクが高い、数値が低い場合は、薬物療法を含め医師に相談しましょう。
更年期治療(ホルモン補充療法など)も、適応や注意点を踏まえた個別判断が基本です。
| 【5】今日からできる「骨・足腰メンテ」—続く最小セット

最初は下のいずれか2つから。
通勤・買い物・家事に少し足す感覚で。 (B)下肢筋トレ:1日1種目
例:椅子からの立ち座りをゆっくり。 (C)バランス:転倒予防の要
例:台所でつかまりながら片足立ち。(D)食事:毎食たんぱく質+骨に関わる栄養
まずは食事の土台づくりを。
(E)環境整備:転ばない工夫
段差、滑りやすいマット、暗い廊下の見直し。
| 【6】サプリはどう使う?位置づけは「補助」

サプリは医薬品ではありません。
役割は、不足しやすい部分を補助すること。
選ぶ基準は、安全性、品質表示の明確さ、続けられる形
服薬中・持病がある方、妊娠中・授乳中の方は必ず医師に相談を。
| 【7】更年期治療という選択:我慢せず、相談していい
更年期症状が強いと、活動量が落ち、足腰メンテも止まりがちです。
治療の選択肢は、症状・体質・リスクによって変わります。
ホルモン補充療法(HRT)を含め、メリットと注意点を整理したうえでの個別判断が大切です。
更年期のケアについてはこちら(Cの記事)
| 【まとめ】骨と足腰は「健康寿命のコア」。更年期からの体メンテで、10年後、30年後が変わる

骨と足腰は「健康寿命のコア」。更年期からの体メンテで、10年後、30年後が変わる
骨粗しょう症とロコモは、別々ではなくつながっています。更年期は、骨密度や活動量が変わりやすい分岐点。
だからこそ、いま始める「転ばない」「折れない」「外出が減らない」体メンテが、10年後、30年後の健康寿命を守ります。
| 参考文献
参考文献
- 日本整形外科学会. ロコモティブシンドロームの定義と評価
- 日本骨粗鬆症学会. 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン
- 東京医科歯科大学. 閉経後女性における骨密度低下に関する解説
- 厚生労働省. 健康寿命延伸のための施策
- 日本女性医学学会. 更年期障害・ホルモン補充療法(HRT)に関するガイドライン
- J-STAGE. 骨・筋肉に関わる栄養素と骨代謝に関する総説
