ピルが飲めなかった私にも選べる!生理痛・避妊に使える新しい薬「スリンダ」を医師が解説
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日本赤十字社医療センター、虎の門病院で産婦人科医として臨床経験を積む。「忙しい女性がもっと気楽に相談できる場所を作りたい」との想いを胸に、2024年11月、オンライン診療専門のシンクヘルスクリニックを開院。
婦人科(生理痛・更年期)、皮膚科、医療用漢方など、女性ならではの悩みに幅広く対応。心のケアも大切に、一人ひとりが安心して自分の体と向き合えるようサポートしている。
目次
1 ミニピル「スリンダ」とは?効果・特徴・おすすめ対象
1.1 どんな人に向いている?
1.2 意外と多い「40代での妊娠」——40代でも避妊は必要?
2 ピル(エストロゲン製剤)やジエノゲストと何が違う?
2.1 血栓リスクの違い
2.2 避妊効果の違い
2.3 飲み方・副作用の違い
2.3.1 飲み方
2.3.2 副作用と「太りやすさ」への誤解
3 スリンダは保険適用外。保険を使いたい場合はどうする?
4 まとめ:スリンダは“ピルが飲めなかった人の新しい選択肢”
「低用量ピルに興味はあるけれど、自分は飲んではいけないと言われたことがある」
「年齢や持病が心配で、ピルを始めていいのかわからない」
そんな方に、新しい選択肢として日本で初めて正式に承認されたエストロゲンを含まない避妊薬が、2025年6月に登場した「スリンダ」です。1)2)
一般的な低用量ピルは、エストロゲンとプロゲステロンという2種類のホルモンを含みますが、スリンダはドロスピレノンという黄体ホルモン(プロゲステロン)だけを含む「ミニピル」と呼ばれるタイプです。
・片頭痛がある
・BMIが高めと言われている
・血栓症のリスクを指摘されたことがある
といった理由で低用量ピルをあきらめていた方でも、スリンダなら選択肢になる可能性があります。
| ミニピル「スリンダ」とは?効果・特徴・おすすめ対象
スリンダは以下のような作用があります。3)4)
・着床を防ぐ作用
・精子が子宮内に入るのを防ぐ作用
具体的には、卵胞の発育や排卵を促すホルモンの分泌が低下し、 排卵を抑えることで妊娠を防ぐ効果が得られます。
また、子宮内膜が増殖して厚くなるのを抑えて受精卵の着床を防いだり、 子宮頸管の粘液の粘稠性を高めることで 精子が子宮内に入りにくくなる働きがあると考えられています。
さらに、個人差はありますが、
・月経痛(生理痛)が軽くなる
・月経量が減る
・月経前の不調(PMS)がやわらぐ
といった変化を感じる方もいます。
「避妊」と「月経痛のつらさ」の両方に悩んでいる方にとって、1つの薬でまとめてケアできる可能性があるのは大きなメリットです。
「生理のたびに痛み止めが欠かせない」
「将来妊娠を望んでいるけれど、今は確実に避妊したい」
そんなお悩みがある場合、スリンダは検討する価値のある選択肢です。
当院ではLINEでご相談内容を伺い、その後医師へ相談することも可能です。スリンダについて興味をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
| どんな人に向いている?
スリンダがおすすめなケースとしては、次のような方が挙げられます。
・喫煙している方(35歳以上で喫煙習慣があると、ピルは原則としておすすめできません)
・BMIが高めの方(肥満があると、ピルの血栓症リスクが相対的に高くなります)
・40歳以上の方(年齢に伴い、ピルによる血栓症のリスクが高くなります)
・血栓症リスクが高いと判断された方
・過去に血栓症の既往がある方
・家族に若い頃からの血栓症の方がいる方
このように、「エストロゲン配合のピルは控えたほうがよい」とされる人でも、避妊の選択肢を持てることが、スリンダの大きな特徴です。5)
| 意外と多い「40代での妊娠」40代でも避妊は必要?
「もう40歳だし、自然妊娠はしないのでは…」と感じて、避妊をあまり意識しなくなる方も少なくありません。
しかし実際には、40代での自然妊娠・予期せぬ妊娠は決して珍しくありません。6)
「年齢的にもう油断してもいい」ではなく、
「自分の意思で妊娠のタイミングを選べるようにしておく」
そのための手段として、スリンダを知っておいていただけると安心です。
当院では、オンライン診療による処方を行っています。医師が丁寧に問診をし、あなたに適した対処法やお薬をご提案します。
さらに、予約から診察、会計まですべてオンラインで完結でき、忙しい方でもスキマ時間に受診が可能です。
一人で悩むより、専門家に相談することで気持ちも楽になりますよ。
| ピル(エストロゲン製剤)やジエノゲストと何が違う?
ここからは、よく使われる以下のお薬
低用量ピル・超低用量ピル
ジエノゲスト
上記との違いを整理していきます。
| 血栓リスクの違い
スリンダは、低用量ピル・超低用量ピルと比べてエストロゲンを含まないため、エストロゲンによる血栓リスクの上昇はありません。
従来の低用量ピルはエストロゲンを含むため、静脈血栓塞栓症(足の静脈でできた血栓が肺に飛ぶなど)のリスクが上がるといった注意点があります。7)
もちろん、医師がリスクを評価したうえで処方しますが、
・喫煙
・高年齢(40歳以上)
・肥満
・血栓症の家族歴
などがある場合、「ピルは控えたほうがよい」と判断されるケースは少なくありません。
スリンダは、「ピルに興味はあるけれど、血栓が怖くて踏み出せなかった」という方の不安を軽くしてくれる選択肢になり得るのです。
もちろん、どんな薬にも「ゼロリスク」はありません。実際の処方前には、問診や既往歴をしっかり確認したうえで、あなたにとってのメリットとリスクのバランスを一緒に考えていきます。
| 避妊効果の違い
スリンダは「避妊薬」として開発・承認された薬です。冒頭でもお伝えしましたが、
・排卵を抑える作用
・子宮内膜が厚くならず、着床を防ぐ作用
・子宮頸管の粘液の性状を 変化させ、精子が子宮内に入るのを防ぐ作用
上記の複数の作用によって避妊効果を発揮します。
一方、ジエノゲストは月経困難症や子宮内膜症、子宮腺筋症などの治療薬として使われ、月経はこなくなりますが、“避妊薬”として承認されているわけではありません。
実際に5〜10%の確率で排卵すると報告されています。8)
結果として、排卵をある程度抑えることはあっても「強い避妊効果が保証されている薬」ではないという位置づけになります。
「治療薬を飲んでいれば、避妊もできているはず」と思い込んでしまうのは危険です。「確実な避妊」を優先したいなら、避妊薬として設計された薬を選ぶことが大切です。
| 飲み方・副作用の違い
低用量ピル・超低用量ピル、ジエノゲスト、スリンダの飲み方、副作用に違いがあるのか、解説します。
– 飲み方
ピルとスリンダは、毎日1錠を同じ時間帯に飲むお薬です。一方、ジエノゲストは1日2回内服する必要があります。
– 副作用と「太りやすさ」への誤解
スリンダを含むホルモン薬では、
・吐き気、頭痛、乳房の張り
・気分の落ち込みやイライラ
などがみられることもあります。
特にスリンダで注意が必要なのは不正出血です。
ピルやジエノゲストは内服を継続することで不正出血が改善する傾向にありますが、スリンダでは半数程度の方が内服中の不正出血を継続して自覚しています。
多くは付着程度の出血であるため、許容できる方は問題ありませんが、気になる方はあまり向いていないことがあります。
一方で、よく聞かれるのが「ピルを飲むと太るのでは?」という不安です。
実際には、体重増加は「むくみ」や「食欲変化」による一時的なものであることが多く、客観的な体重増加は、統計的には否定されています。
なお、スリンダに含まれるドロスピレノンは、むくみの軽減作用を持つため、むくみに悩むどころかむしろ「水太りのような感じが楽になった」と感じる方もいます。
ここまでご紹介したスリンダ、低用量ピル・超低用量ピル、ジエノゲストの違いを4つの観点で比較しました。
| エストロゲン | 避妊効果 | 血栓リスク | 保険/自費 | |
| スリンダ | なし | あり | エストロゲンによる血栓リスク上昇なし | 自費 |
| 低用量ピル (マーベロン、ラベルフィーユなど) |
あり | あり | 若年で健康なら使用可 (リスク因子に注意) |
自費 |
| 超低用量ピル (フリウェル、ドロエチなど) |
あり | 他の方法で避妊を推奨 | 低用量ピルよりリスクは低い | 保険 |
| ジエノゲスト | なし | 他の方法で避妊を推奨 | 血栓リスクは比較的低い | 保険 |
年齢や喫煙、既往歴によってピルを選択できない、避妊効果も得たい方にはスリンダという選択肢があると、おわかりいただけたでしょうか。
自分がスリンダの対象に該当すると感じた方は、医師と相談のうえで処方が可能です。当院のオンライン診療で、一度ご相談してみてはいかがでしょうか。
| スリンダは保険適用外。保険を使いたい場合はどうする?
スリンダは自由診療(自費診療)の扱いになります。
「できれば保険診療の範囲で治療したい」
「まずは月経困難症の治療として、保険適用の薬から検討したい」
といったご希望がある場合は、ジエノゲストなどの治療薬が保険適用となるケースもあります。
【自費診療(スリンダ)と保険診療(ジエノゲスト)の使い分けイメージ】
「避妊を最優先したい」「将来の妊娠はまだ先にしたい」
→ スリンダなどの避妊薬(自費診療)の適性が高い
「とにかく月経痛や出血量の多さを改善したい」
→ ジエノゲストなどの保険診療を検討
月経困難症の方には保険適用の治療薬(ジエノゲスト)もあります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
「月経困難症・PMS・子宮内膜症にお悩みの方へ|ジエノゲストという新しい選択肢」
| まとめ:スリンダは“ピルが飲めなかった人の新しい選択肢
最後にもう一度、ポイントを整理します。
・片頭痛、喫煙、肥満、年齢、血栓リスクなどで「ピルを避けたほうがよい」と言われた方にも選択肢になる可能性がある
・正しく服用すれば、高い避妊効果が期待でき、月経痛やPMSが軽くなる方もいる
40代でも予期せぬ妊娠は珍しくなく、「妊娠するかどうかを自分で選べる」ための避妊は大切です。
「年齢や持病のせいで、避妊薬はあきらめるしかない」そう感じていた方にも、スリンダは「もう一度、自分の体と人生設計を考え直すための新しい選択肢」になり得ます。
一人で悩む必要はありません。オンライン診療なら、自宅から落ち着いて相談していただけます。
「自分にはどの選択肢が合うのか知りたい」と思われた方は、ぜひ一度ご相談ください。
参考文献
1)ASKA Pharmaceutical Co., Ltd. 「スリンダ錠28 製造販売承認に関するお知らせ」(2025).
2)ASKA Pharmaceutical Co., Ltd. 「スリンダ錠28 新発売のお知らせ」(2025).
3)FDA. Slynd® (drospirenone) Prescribing Information (2019).
4)Kaunitz A.M. et al. Efficacy and safety of a drospirenone-only oral contraceptive. Contraception. 2020.
5)WHO. Medical Eligibility Criteria for Contraceptive Use (5th edition).
6)厚生労働省. 「人口動態統計(母の年齢別出生)」.
7)厚生労働省. 「経口避妊薬と血栓症に関する情報」.
8)Strowitzki T. et al. Dienogest in the treatment of endometriosis. Hum Reprod. 2010.






