急な発熱…どうすればいい?原因・対処法・受診の目安を医師が解説
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日本赤十字社医療センター、虎の門病院で産婦人科医として臨床経験を積む。「忙しく頑張っている人がもっと気楽に相談できる場所を作りたい」との想いを胸に、2024年11月、オンライン診療専門のシンクヘルスクリニックを開院。
内科、皮膚科、医療用漢方、婦人科など、受診者の悩みに幅広く対応。心のケアも大切に、一人ひとりが安心して自分の体と向き合えるようサポートしている。
目次
1 忙しい日常で急な発熱が起きたら?
1.1 放置するリスク
2 どの症状で受診すべき?
2.1 大人の受診の目安
2.2 子どもの受診の目安
3 自宅でできるセルフケア
3.1 休養・水分補給・栄養
4 いつまで様子を見てよいか
5 解熱剤の上手な使い方
5.1 市販薬・処方薬を使う時の注意
5.2 子どもや家族の発熱時の注意
6 忙しい時はオンライン診療の活用も
7 発熱時も落ち着いて行動を
朝起きたら、自分やお子さんが急に熱っぽい…。
仕事や家事はあるし、「今日は様子を見てもいいのか」「病院に行くべきか」がわからず、不安になりますよね。
本記事では、急な発熱の原因や受診の目安、自宅でできるセルフケア、解熱剤の使い方について医師の立場からわかりやすく解説します。
コロナやインフルエンザが心配な時、オンライン診療を含めてどのように相談すればよいかもお伝えします。
| 忙しい日常で急な発熱が起きたら?
仕事や家事、育児に追われる30〜40代の方にとって、急な発熱は日常が一気に止まってしまう出来事です。
「とりあえず解熱剤だけ飲んで出勤していいのか」「家族にうつらないか」など、心配ごとも多いでしょう。発熱は、ウイルスや細菌などの感染症だけでなく、体内の炎症、ストレス、薬剤など、さまざまな原因で起こります。
まずは、慌てずに体温と全身状態を確認し、危険なサインがないかをチェックすることが大切です。
| 放置するリスク
「そのうち下がるだろう」と高熱や強いだるさを我慢してしまうと、脱水が進んだり、肺炎や敗血症など重い病気を見逃すおそれがあります。
特に、
・水分がほとんどとれない
・息苦しい、胸が痛い
・意識がぼんやりしている、反応が鈍い
といった症状がある場合は、自己判断で様子を見るのではなく、早めの受診や救急相談窓口への連絡が必要です。
当院では、LINEでご相談いただくことも可能です。相談内容を入力いただき、対処法をご提案します。当院のオンライン診療で対応できる場合は、オンライン診療のご提案もありますが、ご相談内容によっては対面での診療をご案内いたします。
手軽に医療機関へ相談したい方は、一度活用してみてはいかがでしょうか。
| どの症状で受診すべき?
発熱時に「病院に行くべきか」「もう少し様子を見てよいか」を悩む方は多いです。ここでは、大人と子どもでざっくりした目安をお伝えします。
| 大人の受診の目安
次のような場合は、早めの受診をおすすめします。
・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさがある
・胸の痛み、ひどい頭痛、意識の変化(呼びかけへの反応が弱い等)がある
・水分がとれず、尿の回数が極端に少ない・濃い
・持病(心臓病、肺の病気、糖尿病、腎臓病など)があり、いつもより状態が悪いと感じる
これらは新型コロナウイルス感染症や重い肺炎などの可能性も含むサインとされており、早めの受診・相談が推奨されています。
しかし、受診したい時に限って近隣の医療機関の受付が終了している場合もありますよね。当院では、多くの対面診療のクリニックが閉まっている22時までオンライン診療を行っている日があります(※)。
夜間の発熱対応が不安、早めに受診して熱を下げたいという方は、一度オンライン診療を活用してみてはいかがでしょうか。
※夜間診療を行っている日や時間帯は予約画面よりご確認ください。
| 子どもの受診の目安
子どもの体温は大人より高めで、37.5℃前後でも元気なこともありますが、以下のような場合は早めに受診してください。
・哺乳や水分がとれない、尿が少ない
・繰り返し吐いてしまう
・全身や顔色が明らかにおかしい、呼吸が苦しそう
・けいれんを起こした
・3か月未満の赤ちゃんは、38℃以上で原則すぐ受診
・乳児で、発熱が続いている
休日や夜間で受診を迷う時は、小児救急電話相談 #8000 や「こどもの救急」サイトで、症状に応じた受診の目安を確認できます。
| 自宅でできるセルフケア
症状が比較的軽く、受診まで少し様子を見ても良さそうな場合でも、自宅でのケアはとても大切です。
体をウイルスや炎症と戦いやすい状態に整えることを意識しながら、「無理をしない」「脱水を防ぐ」ことを基本にしましょう。
| 休養・水分補給・栄養
発熱時は、体が熱を下げようと汗をかきやすく、知らないうちに水分や電解質が失われています。
・しっかり休む:仕事や家事はできるだけ休み、可能な範囲で横になって過ごすとよいです。発熱時は学校や会社を休み、外出を控えるよう推奨されています。
・こまめな水分補給:一度にたくさん飲むのではなく、少しずつ回数を分けて飲みましょう。水やお茶に加え、食欲がない時は経口補水液やスープなども選択肢です。こまめな水分摂取は、脱水や血栓症の予防にも役立つとされています。
・無理のない食事:食欲がない時は、消化の良いおかゆやうどん、ゼリー飲料などでエネルギーを補いましょう。「しっかり食べなきゃ」と無理をする必要はありません。
汗で濡れたパジャマやシーツは、放置すると体の熱が奪われて体温が下がりにくくなるため、こまめに替えましょう。
室温はエアコンや加湿器を使い、暑すぎず寒すぎない快適な環境を保つことがポイントです。
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| いつまで様子を見てよいか
一般的なかぜや軽いウイルス感染では、発熱が1〜3日ほど続いた後、徐々に解熱してくることが多いです。
ただし、
・解熱してもすぐにぶり返す
・発疹や強い頭痛、息苦しさなど新たな症状が出てきた
といった場合には、肺炎やインフルエンザ、その他の疾患が隠れている可能性もあるため、医療機関への相談をおすすめします。
| 解熱剤の上手な使い方
「熱が出たらすぐ解熱剤」と考えがちですが、解熱剤はあくまでつらさを和らげるための薬です。
原因そのものを治すわけではないことを理解しておきましょう。
| 市販薬・処方薬を使う時の注意

・使用前に、添付文書をよく読み、用法・用量を守る
・「早く効かせたいから」「まだつらいから」と自己判断で回数を増やさない
・複数の市販薬を併用すると同じ成分が重複する危険性もあるため避ける
・持病のある方、妊娠中・授乳中の方は、事前に医師や薬剤師に相談する
厚生労働省の情報でも、市販の解熱鎮痛薬は成分により効き方や副作用が異なるため、自分の症状や体質に合った薬を選び、薬剤師に相談して購入することが推奨されています。
子どもの解熱剤は特に注意が必要で、安易な使用は病気の原因をわかりにくくしたり、副作用のリスクを高めたりすることがあります。
使用間隔は通常5〜6時間以上あけ、1日の使用回数は2〜3回までを目安とするよう案内されています(実際の指示は必ず主治医に従ってください)。
もしお薬の使用に不安があり、主治医や処方医の受診が難しい場合は、当院の医師へご相談が可能です。
| 子どもや家族の発熱時の注意
コロナやインフルエンザなど、感染力の強い病気が疑われる場合には、家庭内での感染対策も重要です。
・可能であれば、発熱した人の部屋を分ける
・タオルや食器の共用を避ける
・こまめに換気を行う
子どもでは、熱の高さだけでなく「いつもと様子が違うか」「機嫌や食欲、水分摂取はどうか」が大事な観察ポイントになります。
心配な時は無理に解熱剤だけで様子を見ず、小児科医に相談してください。
| 忙しい時はオンライン診療の活用も

「平日は仕事を抜けられない」「小さな子どもを連れて長時間待合室で待つのはつらい」─そんな時に、オンライン診療は大きな選択肢になります。
オンライン診療であれば、
・自宅からスマホやパソコンで医師に症状を相談できる
・待ち時間や移動時間を減らせる
・感染症シーズンに、病院内での二次感染リスクを減らせる
といったメリットがあります。問診や画面越しの診察で症状を総合的に判断し、必要に応じて解熱剤やかぜ薬、漢方薬などの処方、あるいは対面受診や救急受診を勧めることも可能です。
「受診するほどか迷う」といった場合にも、オンラインで一度相談しておくと、その後の行動が決めやすくなります。
当院では、オンライン診療にて発熱などをはじめとした風邪症状の診察を受け付けています。
また、処方されたお薬はご自宅までお届けが可能なので、調剤薬局へ行く必要もありません(※)。
※院内処方の場合。院外処方の場合の受け取り方はこちら
予約から会計までスマートフォンまたはパソコンで完了できるため、体調が優れない時に受診する際の負担軽減に役立ちます。
感染症シーズンで病院の予約が取りにくい方や、子供を連れて病院に行くのが不安な方は、ぜひオンライン診療で医師に相談してみてはいかがでしょうか。
| 発熱時も落ち着いて行動を
急な発熱は、不安と予定の乱れで心身ともに負担になりますが、
2.危険なサインがないか確認する
3.自宅でできるセルフケアを行う
4.必要に応じて医療機関や電話相談、オンライン診療を利用する
という流れを知っておくと、落ち着いて対応しやすくなります。
ご自身やご家族の体調が心配な時は、「我慢する」か「すぐ救急に行くか」の二択ではなく、かかりつけ医・電話相談(#7119、#8000など)・オンライン診療といった複数の選択肢を上手に組み合わせてください。
本記事の内容は一般的な目安であり、最終的な診断や治療方針は医師の判断に従ってください。少しでも「いつもと違う」「なんとなく危ない感じがする」と感じた時は、早めの相談をおすすめします。
参考文献
総務省消防庁 全国版救急受診ガイド「Q助」
厚生労働省 「子どもの症状は #8000」
厚生労働省 「大人の症状は 7119」
厚生労働省 「市販の解熱鎮痛薬の選び方」
国立成育医療研究センター「お薬Q&A(子どもの発熱と解熱剤など)」
環境省 「『健康のため水を飲もう』推進運動」
厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」



