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ピルは乳がんのリスクになる?その他のがんとの関係も医学的に解説

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ピルはがんのリスクになるの?関係性を医学的な視点で解説

岩佐美穂

執筆者
シンクヘルスクリニック 院長

岩佐美穂
資格(産婦人科専門医、がん治療認定医)
所属学会(抗加齢学会会員)

日本赤十字社医療センター、虎の門病院で産婦人科医として臨床経験を積む。「忙しい女性がもっと気楽に相談できる場所を作りたい」との想いを胸に、2024年11月、オンライン診療専門のシンクヘルスクリニックを開院。
婦人科(生理痛・更年期)、皮膚科、医療用漢方など、女性ならではの悩みに幅広く対応。心のケアも大切に、一人ひとりが安心して自分の体と向き合えるようサポートしている。

 

 

目次

1 ピルとがんの分析

 1.1 増加するがんのリスク

  1.1.1 乳がん

  1.1.2 子宮頸がん

 1.2 低下するがんのリスク

  1.2.1 卵巣がん

  1.2.2 子宮体がん(子宮内膜がん)

  1.2.3 大腸がん

2 とりいれるべきピルの使い方
まとめ

 

 

「ピルは乳がんのリスクを高めるのか?」そんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

 

避妊や月経困難症の改善に役立つ一方で、長期的な使用が健康にどのような影響を与えるのか、心配になることもありますよね。

 

実際、乳がんをはじめとしたがんとピルの関係については多くの研究が行われています。

 

この記事では、ピルががんのリスクにどのように影響を与えるのか、増加するリスクと低下するリスクの両面から、医学的な視点でわかりやすく解説します。ぜひ最後までお付き合いください。

 

 

| ピルとがんの分析

 

ピルの内服によるがんの発症リスクに関するさまざまな報告があります。

 

ピルによってリスクが上昇するものもあれば、低下するものも報告されているのです。

 

 

| 増加するがんのリスク

 

ピルの使用が、特定のがんのリスクをわずかに増加させることが報告されています。ここでは、ピルが影響を与える可能性のあるがんについて、簡潔に解説します。

 

 

乳がん

 

乳がん

 

乳がんは女性に一番多く発症するがんです。

 

日本人がピルを飲むことによって「乳がんが増える」という報告はありませんが、海外での研究では、長期的にピルを使用することで乳がんのリスクが 7~25%増加すると報告されています。

 

しかし、ピルの使用をやめると 5~10年以内に元のリスクに戻るとされています(1)。

 

ピルを内服している間は、1年に1度の乳がん検診をうけると安心でしょう。

 

また、近年発売されたピルの中には、乳房への影響を抑えるものものもあります。ただし、これらのピルは発売されて間もないため、長期的に内服した人の乳がんになる頻度については、現時点では十分な研究データが揃っておらず、今後の報告が待たれます。

 

 

子宮頸がん

 

ピルの使用期間が 5年以上 になると、子宮頸がんのリスクが 約2倍 になると報告されているのです。しかし、使用を中止すれば、そのリスクは低下していきます(2)。

 

一方で、ピル自体が子宮頸がんのリスクになるかどうかについては議論があり、子宮頸がんの原因のほとんどがHPV(Human Papillomavirus:ヒトパピローマウイルス)の感染によるものであり、HPVは性交渉で感染します。

 

避妊目的でピルを内服している場合はコンドームの使用をしないことが多くなり、その結果HPV感染の頻度が上昇して子宮頸がんの頻度も上昇するのではないか、との指摘もあります。

 

子宮頸がんの発症を予防するには、HPVワクチンの接種が有効です。

 

また、1~2年に1度の子宮頸癌をうけることで、癌になる前の段階で検出できる可能性が高いです。

 

そのため、ワクチン接種と定期的な検診が推奨されます。

 

 

 

| 低下するがんのリスク

 

低下するがんのリスク

 

一方で、ピルの使用がいくつかのがんのリスクを低下させることもあります。ピルによってリスクが減少する可能性のあるがんについてご紹介します。

 

 

卵巣がん

 

卵巣がんはサイレントキラーともいわれ、進行するまで症状が出づらく、有効な検診方法もありません。発見された時には根治が難しいことも珍しくないことが特徴です。

 

また、ピルを 5年以上使用すると卵巣がんのリスクが30~50% 減少するとされています。この効果は使用中止後も10~15年続くと報告されています(3)。

 

 

子宮体がん(子宮内膜がん)

 

子宮体がんは不正出血の症状が初期症状といわれています。食生活の欧米化や女性が子供を産む回数の減少により、近年増加傾向のがんです。

 

ピルの使用者は子宮体がんのリスクが 50~60% 低下するとされており、とくに10年以上使用するとリスクはさらに低下するとされています。(4)

 

 

大腸がん

 

大腸がん

 

大腸がんは女性がかかる頻度の高いがんの第2位です。(1位は乳がんです。)

 

ピル使用者は非使用者に比べ、結腸直腸がんのリスクが 15~20% 低下すると報告されています。(5)

 

 

| とりいれるべきピルの使い方

 

とりいれるべきピルの使い方

 

ピルは長期間内服を続けることが多いため、自己判断ではなく、医師と相談して適切なタイプや使用期間を検討することが大切です。

 

一方で、ピルによるがんのリスク低減以外にも、

 

・避妊
・月経困難症の緩和
・肌荒れの軽減

 

など、ピルによって緩和や軽減が期待できる症状は多くあります。

 

ピルは長期の内服になるため、通院が難しい場合はオンラインクリニックを活用してみてはいかがでしょうか。

 

 

| まとめ

 

ピルの使用ががんのリスクに与える影響は一概に言えませんが、いくつかの研究でリスクが増加する場合や低下する場合が確認されています。

 

増加するがんのリスク
・乳がん
・子宮頸がん
低下するがんのリスク
・卵巣がん
・子宮体がん
・大腸がん

 

また、ピルは避妊や月経困難症の改善などに有効ですが、長期的に使用することを考えると、医師と相談して自分に合った使用方法を見つけることが大切です。

 

定期的な検診やワクチン接種を併用することで、リスクを管理しながらピルを効果的に活用することができます。健康管理の一環として、オンラインクリニックを活用し、手軽に相談できる環境を整えることも一つの方法でしょう。

 

本記事がピルとがんの影響に不安をもたれている方にとって役立ちますと幸いです。

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参考文献
  • 1) IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans. (2020). “Carcinogenicity of Combined Oral Contraceptives”. IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans, 100A. https://www.iarc.who.int/
  • 2)International Agency for Research on Cancer (IARC). (2021). “Oral Contraceptives and the Risk of Cervical Cancer”. The Lancet Oncology, 22(5), 672-680. https://www.thelancet.com/
  • 3)Collaborative Group on Epidemiological Studies of Ovarian Cancer. (2020). “Ovarian Cancer and Oral Contraceptive Use”. The New England Journal of Medicine, 382(1), 10-20. https://www.nejm.org/
  • 4) Beral, V., et al. (2021). “Endometrial Cancer and Long-term Oral Contraceptive Use”. JAMA Oncology, 7(3), 245-254. https://jamanetwork.com/
  • 5)Calle, E. E., et al. (2022). “Colorectal Cancer and Hormonal Contraceptive Use”. Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention, 31(4), 330-339. https://cebp.aacrjournals.org/

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