更年期と漢方〜ゆらぎ期をやさしく支える東洋医学の力〜
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日本赤十字社医療センター、虎の門病院で産婦人科医として臨床経験を積む。「忙しい女性がもっと気楽に相談できる場所を作りたい」との想いを胸に、2024年11月、オンライン診療専門のシンクヘルスクリニックを開院。
婦人科(生理痛・更年期)、皮膚科、医療用漢方など、女性ならではの悩みに幅広く対応。心のケアも大切に、一人ひとりが安心して自分の体と向き合えるようサポートしている。
目次
1 加味逍遙散(かみしょうようさん)
2 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
3 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
4 女神散(にょしんさん)
5 オンライン診療の活用
6 よくある質問
6.1 Q1 ホルモン補充療法とどう違うの?
6.2 Q2 医療用漢方薬と市販の漢方薬の違いは?
7 まとめ
40代後半から50代前半にかけての「更年期」。ホットフラッシュやイライラ、疲れや不眠……。
辛さを自覚している方の中で病院を受診しているのはわずか2割程度という報告があります。辛いけれど、年齢的なものだから仕方ないと我慢している方が多いようです。
参考文献:厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」基本集計結果(2022年7月26日)
そんな中、注目されているのが漢方薬です。
西洋医学とは異なり、「体質」や「気・血・水のバランス」を重視し、不調の根本から整えていく東洋医学の考え方は、更年期の“ゆらぎ”に寄り添う治療として相性がよいとされています。
今回は、更年期に多く用いられる代表的な漢方薬をそれぞれ詳しくご紹介します。
関連記事:更年期のセルフチェック〜早めの対策で快適な毎日を過ごそう〜
こんな方におすすめ
・イライラしやすく、情緒が不安定
・肩こり・頭痛・便秘など、ストレスが体に出やすい
・月経前に不調が強くなる(PMSも)
加味逍遙散は、「肝(かん)の気の巡り」を整える処方です。
東洋医学でいう「肝」は、自律神経や感情のコントロールに関わる臓腑とされており、ストレスで気が滞ると様々な不調が起こります。
加味逍遙散はこの気の滞りをほぐし、心身のバランスを整えてくれるため、なんだか不安、いらいらする、など緊張が抜けないタイプに特に向いています。
こんな方におすすめ
・冷え性で体力があまりない
・めまい・むくみ・貧血傾向がある
・胃腸が弱く、疲れやすい
当帰芍薬散は「血(けつ)」と「水(すい)」の巡りを整える処方です。
血行を良くし、水分代謝を整える働きがあり、とくに虚弱体質・冷え性・水太り傾向のある方に適しています。
体力がないけれどホルモンバランスの乱れによる不調が出ている方、更年期だけでなく妊娠中・産後の体調不良にも使われることの多い処方です。
こんな方におすすめ
・のぼせ・顔の赤み・肩こりがある
・比較的体力がある
・月経不順・月経痛が強い
桂枝茯苓丸は「瘀血(おけつ)=血の巡りが滞っている」状態を改善する処方です。
瘀血は、東洋医学で「痛み・冷え・肌荒れ・月経トラブル・のぼせ」などの原因とされており、更年期に多い「上半身が熱く、下半身が冷える」といったアンバランスな症状に効果的です。
肌トラブルや子宮筋腫・内膜症などを合併している方にも使われることがあります。
こんな方におすすめ
・情緒が不安定で涙もろくなった
・疲労感が強く、元気が出ない
・頭痛・のぼせ・不眠・月経不順などが複合している
女神散は、精神的な不安定さが強く、「心と体の両方が疲れている」ような状態に使われる処方です。
加味逍遙散が「イライラタイプ」だとすれば、女神散は「気力が湧かず落ち込みやすいタイプ」向けです。「肝」「心」「脾」の働きを調和させ、気血の巡りを整え、感情の安定・睡眠の改善・全身倦怠感の緩和に役立ちます。
また、ストレス過多で気分が落ち込んでいる方や、月経前後に特に症状が悪化する方に適しています。
シンクヘルスクリニックでは、お困りの症状と患者さんの体質にあわせて最適な漢方薬をご提案しています。
更年期に差し掛かる年代は仕事の他に家事や育児、親の介護などで多忙であり、自分のために病院へ通う時間さえない方が少なくありません。
その点、オンライン診療は自宅や職場などから都合のよい時間に、スマホやパソコンから受診可能です。当院では保険診療を行っており、料金の目安は以下の通りです。
保険診療(3割負担)の目安 | |
診察料 | 230~1,250円 |
システム使用料 | 1,000円 |
送料 | 院内550円・院外FAX110円 |
ここからは、更年期と漢方についてよく出る疑問について解説します。
ホルモン補充療法(HRT)は、エストロゲンなどの女性ホルモンを補充する治療です。即効性がありますが、乳がんの既往がある方や血栓症のリスクが高い方は推奨されません。
一方、漢方は体質全体を整えることで多様な症状にやさしく働きかけるという特徴があります。
「ホルモン補充は不安」「検査では異常がないけれど不調がつらい」――そんな方にこそ、漢方という選択肢はフィットするかもしれません。
関連記事
更年期障害の治療とは?~症状からホルモン療法(HRT)について解説~
病院で処方される医療用漢方薬と、ドラッグストアなどで購入できる一般用漢方薬は、同じ名前の漢方薬でも違いがあります。
前提として、両方とも使われている生薬の組み合わせ自体は同じです。
しかし、医療用漢方薬は医師が診察を行ったうえで、その人の体質や症状に合わせて適切な成分量を処方します。
一方で、一般用漢方薬は、ドラッグストアなどで薬剤師や登録販売者に相談して購入します。この場合、診察を受けていないため、成分の配合量が医療用より少ないことが多いです。
つまり、同じ漢方薬でも、病院で処方されるものと市販されているものとでは、成分量が異なる場合が多いです。
更年期は「人生の転機」。
心も体も変化していく時期だからこそ、自分に合ったケアを見つけることが大切です。「なんとなくつらい」「検査では異常がないけれど不調がある」――そんな時は、ぜひ一度、医師に相談してみてください。
あなたの体質に合わせた漢方薬が、日々のゆらぎにそっと寄り添ってくれるはずです。
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