血糖値とはなに?高くなる原因・症状・正常値についても簡単に解説
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日本赤十字社医療センター、虎の門病院で産婦人科医として臨床経験を積む。「忙しく頑張っている人がもっと気楽に相談できる場所を作りたい」との想いを胸に、2024年11月、オンライン診療専門のシンクヘルスクリニックを開院。
内科、皮膚科、医療用漢方、婦人科など、受診者の悩みに幅広く対応。心のケアも大切に、一人ひとりが安心して自分の体と向き合えるようサポートしている。
目次
1 血糖値とは
1.1 グルコース値との違い
2 血糖値が高い原因
2.1 上がると症状が出るの?
2.2 下がるとどうなるのか
3 正常値や基準値
3.1 食後高血糖について
3.2 血糖値スパイクとはなにか
4 血糖値が高いと言われたら
4.1 下げる食品はある?
5 まとめ
健康診断で血糖値が高めといわれると、
「もしかして自分は糖尿病なのかな?」
と思う方は多いでしょう。
しかし健康診断の結果を見ると、糖尿病とは書かれていません。ひと安心するものの「じゃあ血糖値が高めってどういうこと?」と新たな疑問が生まれます。
そこで今回は血糖値について、わかりやすく解説します。高くなる原因や症状についてもお伝えするので、どうぞ最後までご覧ください。
血糖値とは、血液中のブドウ糖の量です。
私たちが食事から糖質を摂ると、ブドウ糖に分解され血液によって全身に運ばれエネルギー源として使われます。そのため血液中のブドウ糖量は、1日中変動します。
つまり、血糖値は食事によるエネルギー摂取や運動などのエネルギー消費によって変動するのです。

血糖値は血液中のブドウ糖濃度、グルコース値は間質液(※)中のブドウ糖濃度のことです。
(※)細胞と細胞の間にある液体
グルコースはブドウ糖のことで、glucoseと書きます。血糖値は、blood glucoseです。
なお、血糖値とグルコース値は測定方法も違います。
・血糖値:指先穿刺(せんし)や採血で測定
・グルコース値:CGM(※)で測定
(※)CGM(Continuous Glucose Monitoring)は持続血糖モニターのことで、皮下に刺した細いセンサーによってグルコース値を持続的に測定する
血糖値が高い原因は、インスリンという血糖値を下げるホルモンの分泌が減ったり、働きが低下したりすることです。
血糖値を上げるホルモンは数種類ありますが、血糖値を下げるホルモンはインスリンだけです。そのためインスリンの分泌や働きが低下すると、血糖値が下がりにくい状態になります。
ちなみに、血糖値を上げるホルモンには、グルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンなどがあります。
血糖値が上がっても、症状は出ないことが多いです。ただし、糖尿病がかなり進行して血糖値が高くなると、
・水分を多く摂るようになる
・尿の量や回数が増える
・疲れやすくなる
といった自覚症状があらわれることはあります。さらに血糖値が非常に高くなると意識障害をきたすこともあるので、注意が必要です。
また何年も高血糖状態が続くと血管がダメージを受け、血流が滞ってしまいます。その結果、
・網膜症
・神経障害
・動脈硬化の進行
などの合併症を引き起こす可能性があります。
血糖値が下がりすぎる低血糖になると、
・脈がはやくなる
・頭痛
・眠気とは関係なく出るあくび(生あくび)
・けいれん
・昏睡
といった症状があらわれます。
ただし上記の低血糖症状は、糖尿病を薬で治療中の方が引き起こすことが多いです。一般的に健康な方が日常生活で低血糖を起こすことは稀ですが、極端な空腹、過度の飲酒、激しい運動の直後などで一時的に血糖値が下がる場合も。
また食後2〜4時間以内にインスリンが過剰に分泌され、血糖値が急激に下がってしまう反応性低血糖を起こすこともあります。
血糖値の正常値は、空腹時血糖値(※)100mg/dL未満です。
(※)検査当日、朝食を抜いた空腹の状態で測定した血糖値
なお健康な方の空腹時血糖値の基準は70~99mg/dLで、100~109mg/dLは正常高値(※)、110~125mg/dLは糖尿病予備群といわれます。そして空腹時血糖値が126mg/dLを超えると、糖尿病が疑われます。
(※)すぐに治療が必要ではないものの、将来的に血糖値が高くなる可能性があるため、注意が必要な状態
つまり健康診断などで空腹時血糖値100~125mg/dLだった方が、血糖値が高めといわれるのです。
| 空腹時血糖値 | |
| 健康な方 | 70~99mg/dL |
| 正常高値 | 100~109mg/dL |
| 糖尿病予備群 | 110~125mg/dL |
| 糖尿病疑い | 126mg/dL以上 |

食後2時間経っても血糖値の高い状態が続くことを、食後高血糖といいます。食後高血糖はインスリンの分泌量や働きの低下によって、食後の血糖値が急上昇することで起こります。
なお食後高血糖が続くと、糖尿病の発症や糖尿病予備群につながる可能性が高いです。また動脈硬化を進行させる要因でもあるので、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。
血糖値スパイクとは、食後に急上昇した血糖値が急激に下がる現象のことです。
急上昇した血糖値を下げようと多くのインスリンが分泌されて、血糖値は急激に低下するのです。
つまり、インスリンの分泌が正常な方は食後緩やかに血糖値が上下するのに対し、インスリンを分泌する能力が低下している方の血糖値は食後急激に上昇し、その後に急降下します。
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健康診断などで血糖値が高めと言われたら、血糖値の高い状態が続かないように生活習慣を改善するとよいでしょう。
生活習慣を改善するには、
・運動習慣をつける
といった方法が挙げられます。
具体的には、適量でバランスのよい食事を1日3食、できるだけ同じ時間帯に摂るとよいでしょう。バランスのよい食事とは、主食・主菜(肉や魚のおかず)・副菜(野菜や海藻のおかず)のそろった食事のことです。
また食後に運動すると筋肉への血流が増え、ブドウ糖が細胞の中に取り込まれるようになります。その結果インスリンの効果が高まって、血糖値が下がります。そして運動を続けて筋肉が増えることによって、さらに血糖値の低下につながるのです。
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血糖値を下げる食品はありませんが、血糖値の上昇を緩やかにする食品はあります。
糖質の低い食品や低GI食品は血糖値が急上昇しにくいため、食後の血糖上昇が緩やかになります。
また、食物繊維の多い野菜・海藻のおかずや、たんぱく質の多い肉・魚・卵のおかずを食事の最初に食べると、血糖値が緩やかに上がるのです。
空腹のときにご飯やパン、お菓子などの糖質の多い食品を食べると、血糖値は急激に上がるため注意しましょう。
血糖値とは、血液中のブドウ糖の量のことです。
血糖値が高めといわれた段階で生活習慣を見直すことは、将来の健康を守る大切な一歩です。
不安を感じたときは一人で抱え込まず、医師に相談してみましょう。
シンクヘルスクリニックでは、血糖値に関するご相談も受け付けています。通院や待ち時間の負担がなく、ご自宅や職場から安心して受診いただけますので、どうぞお気軽にご相談ください。
参考文献
厚生労働省 生活習慣病などの情報
国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター
J-STAGE CGMとは


