糖尿病で足がしびれる?神経障害の初期サインと足切断を避ける予防法
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日本赤十字社医療センター、虎の門病院で産婦人科医として臨床経験を積む。「忙しく頑張っている人がもっと気楽に相談できる場所を作りたい」との想いを胸に、2024年11月、オンライン診療専門のシンクヘルスクリニックを開院。
内科、皮膚科、医療用漢方、婦人科など、受診者の悩みに幅広く対応。心のケアも大切に、一人ひとりが安心して自分の体と向き合えるようサポートしている。
目次
1 足のしびれや感覚低下…糖尿病性神経障害のサインかも
1.1 なぜ神経障害が起こるのか?高血糖が神経を傷つけるメカニズム
1.2 放置は危険!足の切断にもつながる合併症のリスク
2 初期に見逃しやすい症状と進行による変化
2.1 こんな症状は要注意!自分でできる初期サインのチェックリスト
2.2 進行すると「痛み」から「感覚消失」へ
3 早期発見と生活改善で重症化を防ぐ
3.1 最も重要な治療は「良好な血糖コントロール」
3.2 今日から始める「フットケア」で足を守る
4 シンクヘルスクリニックでできること
5 まとめ
「最近、足先がピリピリとしびれる」
「なんとなく感覚が鈍いような気がする」
このような症状を感じながら、「年のせいだろう」と見過ごしていませんか?
その症状は、糖尿病の三大合併症の一つ「糖尿病性神経障害」のサインかもしれません。
この病気は初期の自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行してしまいます。放置すると、痛みが続いたり、足の感覚がなくなって潰瘍や壊疽(えそ)を引き起こし、最悪の場合は足を切断することにもなりかねません。
この記事では、糖尿病性神経障害の症状や原因、そして重症化を防ぐための予防法を解説します。大切な足を守り、これからも自分らしい生活を送るために、ぜひ最後までお付き合いください。
| 足のしびれや感覚低下…糖尿病性神経障害のサインかも
糖尿病には、長期間にわたる高血糖によって起こる代表的な合併症があり、これらは「糖尿病の三大合併症」と呼ばれています。
具体的には、神経障害・網膜症・腎症の3つです。この中でも神経障害は、比較的早い段階から自覚症状が出やすい合併症です。
初期段階では「なんとなくしびれる」「足の裏に一枚紙が貼ってあるような違和感」といった些細な症状しか現れないため、多くの方が見過ごしてしまいます。
しかし、このサインを放置すると、気づいたときには症状が進行している可能性があります。体の小さな変化に気づき、早期に対策を始めることが重要です。
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| なぜ神経障害が起こるのか?高血糖が神経を傷つけるメカニズム

糖尿病で神経障害が起こる主な原因は「高血糖」です。血糖値の高い状態が長く続くと、体の中で様々な悪影響が起こります。
一つは、神経に栄養を送る細い血管が傷つき、血流が悪化することです。これにより神経細胞が栄養不足に陥り、正常に機能しなくなります。
もう一つは、過剰な糖から作られた有害な物質が神経細胞の中に溜まり、神経そのものを直接傷つけてしまうことです。
このように、高血糖は血管と神経の両方にダメージを与え、体の隅々まで張り巡らされた神経の働きを少しずつ蝕んでいきます。
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| 放置は危険!足の切断にもつながる合併症のリスク
糖尿病性神経障害で最も注意すべきなのが、足のトラブル(足病変)です。
神経障害が進行すると足の感覚が鈍くなるため、靴擦れや小さな切り傷、やけどなどに気づきにくくなります。健康な人ならすぐに手当てできるような些細な傷でも放置してしまいがちです。
さらに、糖尿病の人は免疫力も低下しているため、その傷口から細菌が入りやすくなります。また、糖尿病による血流障害によって、傷の治りが遅くなるため、感染が広がりやすくなります。
感染が悪化すると、皮膚の深い組織まで壊死してしまう「潰瘍」や「壊疽」に進行し、最終的に足を切断せざるを得ない状況も少なくありません。
また、立ちくらみや便秘、ED(勃起不全)といった自律神経の症状が現れることもあります。
| 初期に見逃しやすい症状と進行による変化
糖尿病性神経障害は、症状の現れ方によって進行度をある程度把握できます。
ご自身の症状と照らし合わせ、早期発見につなげましょう。
| こんな症状は要注意!自分でできる初期サインのチェックリスト
神経障害の症状は、多くの場合心臓から最も遠い「足の指先」から左右対称に現れるのが特徴です。以下のような症状がないかチェックしてみましょう。
針で刺されるような痛みを感じる
足が冷える、または逆に火照るように熱く感じる
足の裏に紙や薄い膜が貼りついたような違和感がある
砂利の上を歩いているような感覚がある
手足の感覚が鈍くなる
一つでも当てはまる場合は、かかりつけ医に相談することが大切です。
| 進行すると「痛み」から「感覚消失」へ
初期症状を放置して神経障害がさらに進行すると、症状は変化します。
しびれに加え、触れただけでも激しく痛む「有痛性神経障害」に悩まされることがあります。この痛みは日常生活に大きな苦痛をもたらすのです。
そして、さらに病状が進むと、今度は逆に痛みや温度の感覚がほとんどなくなってしまいます。これは神経の機能が著しく低下した、危険な状態です。感覚がないために怪我をしても気づかず、足の潰瘍や壊疽のリスクが飛躍的に高まります。
高度に進行した神経障害では感覚の回復が難しくなるものの、早期の段階であれば血糖コントロールの改善によって症状が軽くなることもあります。
| 早期発見と生活改善で重症化を防ぐ
糖尿病性神経障害は、一度進行すると完全に元に戻すことは困難です。
しかし、早期に発見し適切な対策を継続すれば、症状の悪化を防ぎ、足の切断といった最悪の事態を回避することは十分に可能です。
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| 最も重要な治療は「良好な血糖コントロール」
神経障害の進行を食い止める最も重要な治療は、原因である高血糖を改善すること、つまり「良好な血糖コントロール」です。
医師の指示に従って食事療法、運動療法、薬物治療をきちんと継続し、血糖値を安定させることが、神経へのダメージを最小限に抑えます。忙しい毎日の中でも、将来の健康を守るために生活習慣を見直すことが重要です。
| 今日から始める「フットケア」で足を守る
血糖コントロールと並行して、ぜひ毎日の習慣にしていただきたいのが「フットケア」です。自分の目で足の状態を確認し、トラブルを早期に発見しましょう。
・足を清潔に保つ: 毎日、石鹸で優しく洗い、指の間までよく乾かす。
・爪の切り方に注意: 深爪はせず、まっすぐ横に切る「スクエアカット」を心がける。
・靴・靴下の選び方: 足に合った靴を選び、靴下は毎日履き替える。
・やけどに注意: 暖房器具やカイロなどによる低温やけどに気をつける。
また、喫煙は血流を著しく悪化させるため、禁煙も非常に重要です。
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| シンクヘルスクリニックでできること
「仕事が忙しくて、定期的な通院が難しい」
「合併症について医師にゆっくり相談したい」
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。
当院では、お忙しい方でも治療を継続しやすいよう、オンライン診療を積極的に活用しています。ご自宅や職場からスマートフォンなどを通じて、医師の診察を受けることが可能です。
・継続的なフォローアップ: 定期的な診察で、血糖値や合併症の兆候をきめ細かくチェックし、生活改善のサポートを受けられる
・専門医への連携: 必要に応じて、対面での診察が可能な専門医療機関へのご紹介もスムーズに
糖尿病治療は長く付き合っていくものです。無理なく続けられる方法を一緒に見つけましょう。合併症の不安など、どんなことでもお気軽にご相談ください。
| まとめ
今回は、糖尿病性神経障害の初期症状と、足の切断を避けるための予防法を解説しました。
・原因は高血糖であり、神経や血管にダメージを与えることで発症する
・放置すると感覚が消失し、潰瘍や壊疽のリスクが高まる
・予防の基本は「良好な血糖コントロール」と毎日の「フットケア」
足のしびれは、あなたの体が発している重要なサインです。「年のせい」と自己判断せず、気になる症状があれば早めにかかりつけ医に相談してください。早期の対策が、あなたの足と未来の生活を守るための最も確実な方法です。


