ストレスで生理が遅れるって本当?~生理不順の原因から整える方法まで~
当記事は、一般社団法人健幸会 シンクヘルスクリニック 代表理事・院長 大村 美穂先生が監修いたしました。執筆は、ライター 石倉 美希 (臨床心理士・公認心理師)が担当しました。
仕事やプライベートが忙しく、ストレスの多い生活を送っている中で生理周期が乱れてしまった経験はありますか?
生理が遅れたり、早まったりすると体に負担がかかるだけでなく、気持ちの面でも落ち着かないものですよね。
今回は生理不順の原因や生理周期を整える方法をご紹介します。ぜひ最後までお付き合いください。
目次
1 生理が遅れる主な原因
1.1 ストレス
1.2 過度なダイエット
1.3 妊娠
1.4 病気
2 生理が早まることもある?
3 生理不順を整えるには
3.1 ストレスを溜めない
3.2 規則正しい生活
3.3 適正体重を維持
3.4 ピルを活用
4 こんなときは医師に相談を
4.1 3か月以上生理がこない
4.2 痛みや不正出血が続いている
4.3 生理不順にストレスを抱えている
5 まとめ
正常な生理周期は25~38日といわれています。この日数よりも周期が短かったり長かったりすると生理不順であるといえます。
生理の遅れに関わる主な原因4つをまとめました。
生理は女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの働きによって生じます。この女性ホルモンはストレスや環境の影響を受けやすく、ホルモンバランスの乱れにつながるのです。
・精神的なストレスが大きい
・睡眠不足が続いている
という方は、ストレスが生理の遅れに影響している可能性があります。
過度なダイエットを続けていると、生理が遅れたり止まってしまうことがあります。実は食事制限によって体重が減ると、体内のエネルギーが不足し、女性ホルモンの分泌も減ってしまうのです。
また、体重を元に戻すことで、多くの場合は生理が再開するといわれています。
そして、体重に変化がなくても、ハードな運動によってエネルギーを多く消費すると、同じようにホルモン分泌に影響する場合もあります。マラソンなど強度の高い運動をする方は、エネルギー不足に注意しましょう。
妊娠が成立すると、生理が止まります。普段から生理周期が乱れ、遅れるのが当たり前の状態になっているとなかなか妊娠に気づかないことがあります。
思いあたる性交渉があり、生理予定日から1週間から2週間生理が遅れている場合は、まず妊娠検査薬でチェックしてみましょう。
生理が遅れる背景には病気が隠れている可能性もあります。
|卵巣機能の低下
40歳未満で生理が来なくなってしまう早期閉経という病気は生理不順や無月経、更年期障害のような症状がある場合も。
また、卵巣に嚢胞(のうほう)ができ、卵巣が腫れたり肥大化する多嚢胞性卵巣症候群においても生理不順、無月経などが出現します。
|甲状腺の病気
甲状腺では甲状腺ホルモンという生命維持における大事なホルモンが分泌されています。
ホルモンが過剰に分泌されるバセドウ病、甲状腺に慢性的な炎症が生じて甲状腺ホルモンの分泌量が減ってしまう橋本病の症状も、月経異常を引き起こす場合があるのです。
また、更年期と似た症状が出る方もいるため、甲状腺の病気が見逃されがちです。
生理周期が24日以下であると、「頻発月経」といわれる生理不順に該当します。
生理周期が短くなるのは、生理が遅れる原因とおおむね同じように、環境やストレスによるホルモンバランスの乱れが原因になることがあります。
さらに、排卵障害や卵巣機能の低下が原因であることもあります。
排卵がないまま出血が起こっている状態であったり、排卵はあるものの卵巣からのホルモンの分泌が減っていると、生理周期が短くなる場合があるのです。
生理不順を整えるためにできることをご紹介します。
ストレスを完全になくすことは、残念ながらできません。ストレス対処(コーピング)の方法をたくさん用意し、ストレスを溜めないことを意識しましょう。
ストレスの対処方法は大きく2つに分けられます。
・ストレスの捉え方や気分を変える
・問題を解決する手段を取る
どちらの方が効果的かは、ストレスの内容や状況にもよります。ご自身の状態をよく観察し、使い分けられるとベストですね。
・しっかり睡眠を取る
・活動量に合わせて適切な栄養を摂取する
・適度な運動をする
という基本的な生活習慣が生理周期を整えてくれますよ。
また、生活リズムが整うと、セロトニンという神経伝達物質の分泌も促進され、気持ちが安定するなどメンタルヘルスにもよい影響があります。
ストレスの多い毎日に疲れてしまっているというときも、まずは規則正しい生活を意識してみてくださいね。
美容の観点から痩せたいと思う人も多いと思いますが、生理周期を整えるには、適正体重をキープするのが大切です。
ご自身の体重を評価するために利用できる計算式としてBMIがあります。
BMIは 体重÷身長(m)÷ 身長(m)で計算できます。
BMIは22が適正体重といわれており、17未満になると月経不順が起こりやすくなります。例えば身長160cmであれば43kg以下、155cmなら40kg以下になると月経への影響が大きくなります。
太りすぎも痩せすぎも、健康リスクを高めてしまいますので注意が必要ですね。
低用量ピルは避妊や生理痛の緩和に効果があるだけでなく、生理周期を整えるのにも役に立つ薬です。ピルにはエストロゲンの量に応じて超低用量・低用量・中用量と種類があり、症状や用途に応じて使い分けられます。
副作用が気になるときは、医師と相談して自分に合うものを探していきましょう。
ピルの処方には医師の処方箋が必要であるため、薬をもらいに行く時間がないという方はオンライン診療を活用してみるのもオススメです。
生理不順で以下のような悩みがあるという場合には、医師と相談してみましょう。
医学的に3か月以上生理が来ないと無月経といわれます。無月経の状態が長く続くと、生理を再開させることが難しくなったり、骨量が低下して骨粗しょう症のリスクが高まることも。
毎日忙しく過ごすご自身を、少しだけ気にかけてあげましょう。
「ストレスが多い状況だから生理不順は仕方ない」と自己判断してしまうのはあまり良くありません。市販の痛み止めで痛みを紛らわせたり、出血を見て見ぬふりをしているうちに病状が悪くなってしまうこともあります。
我慢せずに早めに相談してくださいね。
生理周期が安定しないと、「いつ生理になるか」と気になってしまいますよね。生理が重なってほしくない旅行などの計画も立てにくく、コントロールできない感覚に振り回されてしまうことも。
こうしたストレスを軽減したい場合は、ぜひ一度医師に相談してみましょう。ピルを使って生理をコントロールすることで、ご自身のQOLやウェルビーイング向上にもつながるかもしれません。
生理不順の主な原因は
・ストレス
・過度なダイエット
・妊娠
・病気(卵巣機能の低下、甲状腺の病気)
などが考えられます。
女性ホルモンのバランスは環境やストレスの影響を受けやすく、生理周期の乱れに現れやすいものです。
生理周期を整えるには
・ストレスへの対処方法をたくさん用意してストレスを溜めない
・規則正しい生活を送る
・適正体重を意識する
・ピルを活用
といった工夫をしてみてください。
生理不順の状態を長期間そのままにしておくと、正しい生理周期に戻しにくくなったり、骨量にも影響が出る可能性があります。
痛みや不調を我慢せず、適切にピルを使って生理をコントロールすると、生理に伴うストレスも軽減されるでしょう。
生理について気になることがある場合は、ぜひ医師に相談してみてください。
それでは、本記事が生理不順に悩む方にとって、心身の健康を維持するのに役立つと幸いです。
参考文献
公益社団法人 日本医師会 身長から、自分の適正体重を知る
公益社団法人 日本産婦人科学会 女性の健康Q&A
厚生労働省 e-ヘルスネット
厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト
厚生労働省研究班(東京大学医学部藤井班)監修女性の健康推進室 ヘルスケアラボ