生理前に便秘になるのはなぜ?原因とすぐできる対策・オンライン診療で相談できる3つの医療アプローチ
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シンクヘルスクリニック 院長
岩佐美穂
資格(産婦人科専門医、日本抗加齢医学専門医、がん治療認定医)
所属学会(日本産科婦人科学会、日本成人病(生活習慣病)学会、日本抗加齢医学会、日本癌治療学会)
日本赤十字社医療センター、虎の門病院で産婦人科医として臨床経験を積む。「忙しい女性がもっと気楽に相談できる場所を作りたい」との想いを胸に、2024年11月、オンライン診療専門のシンクヘルスクリニックを開院。
婦人科(生理痛・更年期)、皮膚科、医療用漢方など、女性ならではの悩みに幅広く対応。心のケアも大切に、一人ひとりが安心して自分の体と向き合えるようサポートしている。
目次
1 生理前に便秘やお腹の張りが起こる理由
1.1 月経周期に伴うホルモン変動が関係する
1.2 むくみやガスで「出ていない感覚」が強くなることも
2 市販の便秘薬は「種類」を確認して使おう
3 医師と相談できる3つの医療アプローチ
3.1 1.非刺激性の便秘薬などで排便を整える
3.2 2.低用量ピル・超低用量ピルでPMS全体を治療する
3.3 3.症状や体質に合わせて漢方薬を選ぶ
4 スマホで相談できるオンライン診療
5 薬と併せて試したいセルフケア
6 便秘でも早めに対面受診が必要なサイン
7 次の生理前を少し楽にするために、今から相談を
生理の1週間ほど前になると、いつも便が出にくくなる。
お腹が張って、いつもの服がきつく感じる。
食事や水分に気をつけても改善せず、肌荒れやイライラまで重なる。
毎月同じ時期に便秘を繰り返していると、「食生活が悪いのかな」「自分の体質だから仕方ない」と思ってしまうかもしれません。
しかし、生理前の便秘やお腹の張りには、月経周期に伴うホルモン変動が関係している可能性があります。努力不足だけが原因ではありません。
一方で、便秘の原因は月経前症候群(PMS)だけとは限らず、薬の選び方にも注意が必要です。
この記事では、生理前に便秘が起こりやすい理由、自宅でできる対策、医療機関で相談できる3つのアプローチを産婦人科医が解説します。
| 生理前に便秘やお腹の張りが起こる理由
生理前の3~10日ほどに現れ、生理が始まると軽くなる心身の不調を月経前症候群(PMS)といいます。
イライラ、気分の落ち込み、乳房の張り、むくみ、頭痛などがよく知られていますが、便秘やお腹の張りを感じる方もいます。
| 月経周期に伴うホルモン変動が関係する
排卵後から生理前にかけては、黄体ホルモン(プロゲステロン)をはじめとする女性ホルモンの分泌が大きく変化します。こうした変化は、腸の動きや便の通過時間、体内の水分バランスなどに影響する可能性があります。
ただし、「黄体ホルモンが増えると、必ず腸の動きが鈍くなる」と単純に説明できるわけではありません。月経周期と便通の関係には個人差があり、食事量、運動量、睡眠、ストレスなども影響します。
毎月ほぼ同じ時期に便秘が始まり、生理が始まると軽くなる場合は、月経周期との関連が考えられます。まずは2~3周期、便通やお腹の張り、気分の変化を記録してみると、受診時にも役立ちます。
| むくみやガスで「出ていない感覚」が強くなることも
生理前は、むくみや腹部膨満感が現れやすい時期です。便の回数が大きく減っていなくても、ガスや張りによって「お腹がパンパン」「すっきり出ていない」と感じる場合もあります。
なお、生理が始まると便が緩くなったり、下痢になったりする場合は、月経時に増えるプロスタグランジンによる腸への影響が、その一因と考えられています。
| 市販の便秘薬は「種類」を確認して使おう
「以前、市販の便秘薬を飲んだら、仕事中に激しい腹痛が起きた」という経験から、便秘薬そのものが怖くなっている方もいるかもしれません。
市販の便秘薬には複数の種類があり、すべてが腸を強く刺激するわけではありません。腹痛が起こりやすいとされるのは、センナ、センノシド、ビサコジルなどの刺激性下剤です。腸の動きを促すため比較的早い効果が期待できる一方、腹痛や下痢が起こることがあります。
刺激性下剤が一律に危険というわけではありませんが、自己判断で量を増やしたり、毎日のように漫然と使い続けたりするのは避けたいところです。
月経前になるたびに薬が必要な方や、過去に強い腹痛が出た方は、便の硬さや排便回数、ほかの症状に合った薬を医師と選びましょう。
当院では、オンライン診療で生理前の便秘に関するお悩みを承っています。また、PMSなどの生理に伴う不調の緩和についても、合わせてご相談いただけます。
毎月同じことで悩まされる前に、医師へのご相談を検討してみてはいかがでしょうか。
| 医師と相談できる3つの医療アプローチ
生理前の便秘に対する治療は、症状によって変わります。便秘そのものを和らげたいのか、イライラや肌荒れなどを含む月経前症候群(PMS)全体を改善したいのかによって、選択肢は変わります。
| 1.非刺激性の便秘薬などで排便を整える
便が硬い場合には、腸管内に水分を集めて便をやわらかくする酸化マグネシウムやポリエチレングリコール製剤などを検討します。刺激性下剤とは作用が異なり、腸を直接強く刺激しないため、腹痛が起こりにくい傾向があります。
症状や経過によっては、腸管内への水分分泌を促すルビプロストン(アミティーザ)やリナクロチド(リンゼス)などが候補になります。
ただし、これらも下痢、吐き気、腹痛などの副作用をともなう可能性があり、「絶対にお腹が痛くならない薬」ではありません。なお、リンゼスなどは慢性便秘症や便秘型過敏性腸症候群などに用いる薬であり、診断や適応の確認が必要となります。
また、酸化マグネシウムは腎機能が低下している方などでは高マグネシウム血症に注意が必要です。市販薬を含む服薬状況や持病を医師に伝えることが大切です。
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| 2.低用量ピル・超低用量ピルでPMS全体を治療する

便秘に加えて、イライラ、気分の落ち込み、むくみ、頭痛、肌荒れなどが生理前にまとまって現れる場合には、月経前症候群(PMS)の治療を検討します。
低用量ピルや超低用量ピルは排卵を抑え、月経周期に伴うホルモン変動を小さくすることで、PMSの症状を軽減できる場合があります。
ただし、ピルは便秘そのものの治療薬ではなく、便秘への効果には個人差があります。便秘だけが続いている場合には、便秘薬など別の治療が適することもあります。
また、避妊を目的とする低用量ピルと、月経困難症などの治療に用いる保険適用の低用量・超低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP製剤)では、使用目的や保険適用が異なります。
前兆のある片頭痛がある方や、喫煙、年齢、血栓症の既往、血圧などによっては使用できないため、診察で確認が必要です。
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| 3.症状や体質に合わせて漢方薬を選ぶ
生理前の便秘だけでなく、冷え、むくみ、イライラ、のぼせ、腹部膨満感など複数の症状がある場合には、漢方薬を検討することがあります。
月経前の不調には、症状や体質に応じて加味逍遙散や当帰芍薬散などが選択肢になります。
ただし、これらは便秘に対して全員に同じ効果が期待できる薬ではありません。便秘が中心の場合には、大黄甘草湯など大黄を含む漢方薬の使用を検討しますが、大黄には腸を刺激する作用があるため、腹痛や下痢が起こる場合もあります。
「漢方だから副作用がない」「長く飲んでも必ず安全」というわけではありません。甘草を含む製剤では偽アルドステロン症によるむくみ、血圧上昇、低カリウム血症などにも注意が必要です。ほかの漢方薬との成分重複を含め、医師や薬剤師と相談して使用しましょう。
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| スマホで相談できるオンライン診療

「平日は仕事が終わるのが遅い」「子どもを連れて待合室で待つのが難しい」という方には、オンライン診療も選択肢です。
当院では、スマートフォンから医師の診察を受け、症状や月経周期、現在使用している薬、持病などを確認したうえで、治療の選択肢をご提案します。
処方可能と判断した場合は、薬をご自宅へ配送するほか、状況に応じてお近くの調剤薬局で受け取れる方法をご案内できる場合もあります。
診察時間、当日発送の締め切り、到着日数、薬局での受け取り方法は、予約枠や配送地域、薬局の在庫状況などによって異なります。詳しくは予約ページやオンライン診療の案内をご確認ください。
なお、オンライン診療だけでは診断が難しい場合や検査が必要な場合には、対面の婦人科、内科または消化器内科をご案内します。
| 薬と併せて試したいセルフケア
便秘が軽い場合には、次のような習慣も役立ちます。
・水分をこまめにとる
・食物繊維を急に増やしすぎず、野菜、果物、海藻、豆類などから少しずつとる
・ヨーグルトなどの発酵食品を、体調を見ながら取り入れる
・ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で体を動かす
・お腹を締めつける服を避け、入浴などでリラックスする
すでにお腹の張りが強い方では、不溶性食物繊維を一度に増やすとかえって苦しくなることがあります。頑張って食物繊維を増やしても改善しない場合は、セルフケア不足と考えずにご相談ください。
| 便秘でも早めに対面受診が必要なサイン
次の症状がある場合は、生理前の便秘と思い込まず、オンライン診療だけで済ませずに早めに医療機関を受診してください。
・繰り返す嘔吐、発熱
・血便、黒い便
・お腹が強く張り、便もガスも出ない
・意図せず体重が減る
・便秘と下痢を繰り返す、または生理が終わっても便秘が続く
・これまでと明らかに違う便通の変化
| 次の生理前を少し楽にするために、今から相談を
生理前の便秘やお腹の張りには、月経周期に伴う体の変化が関係している場合があります。
治療に用いる薬は、便の状態に合わせた便秘薬、月経前症候群(PMS)全体に対する低用量ピル・超低用量ピル、複数の不調を考慮して選ぶ漢方薬などです。
ただし、どの方法が適するかは症状や持病、服用中の薬によって異なります。
「また来月も同じ便秘を我慢しなければ」と憂うつになる前に、便通と月経の記録をつけてご相談ください。当院のオンライン診療では、スマートフォンから受診でき、処方可能な場合にはご自宅への配送や調剤薬局での受け取りをご案内します。
次の生理前を少しでも楽に過ごすために、今できる方法を一緒に考えていきましょう。
参考文献
・日本消化管学会編.便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症.南江堂,2023.
・日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会編.産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編.
・American College of Obstetricians and Gynecologists. Premenstrual Syndrome (PMS). Patient FAQ.
・医薬品医療機器総合機構(PMDA).リンゼス錠0.25mg 添付文書・患者向医薬品ガイド.


