風邪の予防方法や原因を解説~食べ物や飲み物での対策も~
監修者:シンクヘルスクリニック院長 産婦人科医専門医 大村 美穂
執筆者:ライター 前間弘美 (管理栄養士)
目次
1 風邪を予防するには
1.1 手洗い
1.2 アルコール消毒
1.3 マスクの着用
1.3.1 咳エチケット
1.4 うがい
1.5 規則正しい生活
1.5.1 腸内環境も
2 症状に合った対処法を
3風邪予防によい食べ物や飲み物はあるの?
3.1 ヨーグルトなどの発酵食品
3.2朝鮮(高麗)人参
3.3 緑茶
4 風邪薬や葛根湯は予防にならない
4.1 サプリメントはどうか
5 まとめ
風邪の予防方法をお伝えする前に、なぜ風邪をひいてしまうのか、について考えたいと思います。
風邪の原因の大半は、ウイルスの感染です。
ウイルスは、風邪をひいている人の咳やくしゃみなどによって、空気中に飛散します。そのウイルスを体内に取り込んでしまい、自分の免疫でウイルスをやっつけることができずにウイルスが体の中で増殖した結果、風邪をひいてしまうのです。
風邪の原因であるウイルスを体内に入れなければ、風邪をひかないと考えられますが、日常生活を送る中で、ウイルスを体内に一切入れないというのは難しいです。そこで、適切な風邪予防が大切なのです。
風邪を予防するには、
・ウイルスを体内に取り込まないようにする
・ウイルスを体内で増殖しないようにする
ことが大切です。
では、具体的にどうすれば風邪を予防できるのか、実践的な方法についてお話します。
風邪を予防するには
・アルコール消毒
・マスクの着用(咳エチケット)
・うがい
・規則正しい生活
といった方法があります。
それでは、1つずつ解説していきましょう。
外出したあとに手洗いをすると、手についた風邪のウイルスを洗い流すことができます。
ウイルスのついた手で口や顔を触ると、ウイルスが体内に侵入し風邪にかかる可能性が上がります。
そこで外出後や食事前に手洗いをすると、風邪予防につながるのです。
正しい手洗いの方法は、政府広報オンライン(正しい手洗いの仕方)で確認しましょう。
正しいアルコール消毒は風邪予防に有効とわかっています。
正しいアルコール消毒の手順とは、濃度70%以上95%以下のエタノールをよく手にすり込むことです。この方法でアルコール消毒をおこなえば、手洗いをすぐできない状況であっても手についたウイルスを無毒化できます。
マスクの着用は、ウイルスなどの感染から自分自身を守るために効果的といわれています。
とくに風邪やインフルエンザなどが流行する時期に、混雑した場所などに行く際はマスクの着用で感染を防ぐ可能性があるでしょう。
なおマスクの着用をはじめとした、いわゆる新型コロナウイルス感染予防対策は、風邪や胃腸炎にも効果的である可能性があります。ある研究によると、2019年4月から2020年3月と2020年4月から2021年3月のパンデミック期間を比べると、病院で風邪や胃腸炎と診断された患者数はパンデミック期間に減少した、と報告されています。
このことから新型コロナウイルス感染予防対策は、風邪や胃腸炎の感染予防にも役立ったと考えられるのです。
またマスクの着用は、自分自身が風邪やインフルエンザに感染した際に、周囲の方に移さないためにも効果的です。体調が悪いときにやむを得ず外出する際は、マスクを着用しましょう。
ー 咳エチケット
自分自身の体調が悪いときは、周囲に感染を拡げないための配慮として咳エチケットが大切です。
咳やくしゃみが出るときは、マスクで鼻と口を覆うのが基本です。また、マスクがないときはティッシュやハンカチ、服のそでの内側で鼻と口を覆って、周りの人への感染を防ぎましょう。
うがいは、のどについたウイルスや菌を洗い流す効果が期待できます。
つまり外出後にうがいをすることで、外でもらってきたウイルスや菌を洗いすことができます。
ちなみにうがいをする際は、のどの奥に水が当たるようにするのが理想です。なぜなら、風邪のひきはじめは、のどの奥の横にある粘膜が腫れるからです。粘膜が腫れないようにするには、ウイルスや菌を洗い流すとよいと考えられます。
そのため風邪を予防するためのうがいは、顔を横に倒して少しななめ上を見ながらのどの奥に水が当たるよう意識しておこなうとよいでしょう。
風邪予防には規則正しい生活が大切です。規則正しい生活は免疫力を上げるため、ウイルスが体内に侵入した際にもウイルスをやっつけることができます。そのため、風邪にかかりにくい体づくりに役立ちます。
なお規則正しい生活とは、
・1日3食バランスのよい食事
・適度な運動
などを習慣とすることです。
忙しい日々の中で規則正しい生活を送るのが難しい方も、いらっしゃるかもしれません。まずは、
・朝ごはんを抜かずに食べる
・10分間体操をする
といった、小さなことから始めてみてはいかがでしょうか。
腸内環境を整えると病原菌の増殖を防ぐほか、免疫を正常に働かせる効果が期待できます。
整った腸内環境とは、腸内細菌のバランスがよい状態のことです。腸内細菌のバランスがよいと、腸内は弱酸性になります。腸内が弱酸性であれば病原菌の感染を防げるため、風邪の予防にもつながる可能性があります。
風邪の症状はさまざまです。そのためドラッグストアなどで購入できる一般的な風邪薬では、効果がみられないことも。
病院を受診し、適切な処置を受けるのが快方への近道です。とはいえ、忙しかったり、通院する体力がなかったりする場合もあるでしょう。そんなときは、オンラインクリニックで診察を受けるのもおすすめです。シンクヘルスクリニックでは、あなたの症状に応じた漢方薬を医師が処方いたします。
風邪予防によいといわれる食べ物や飲み物はあります。ただし風邪は、手洗いや規則正しい生活によって予防するものです。
ここでは風邪予防によいといわれる食べ物や飲み物を紹介しますが、特定の食べ物や飲み物ばかり摂るのではなく、適量のバランスのとれた食事を1日3食摂ることも大切ですよ。
ヨーグルトや納豆などの発酵食品は、腸内環境を整えるため風邪予防に効果が期待できます。
なお、発酵食品はこまめに摂り続けることが大切です。風邪の流行る時期だけでなく、1年を通して食べることをおすすめします。
朝鮮(高麗)人参は中国伝統医学において、健康目的で使用されている食品です。
韓国でおこなわれた健康なボランティア100人を対象とした研究によると、朝鮮人参を摂取した人達は摂取していない人達と比べて、風邪をひいたという報告が少なかったそうです。また風邪をひいた場合も、朝鮮人参を摂取していた人たちの症状は軽かったとの報告も。
朝鮮人参を摂取したからといって必ず風邪予防につながるとはいえませんが、対策の1つとして取り入れるのもよいかもしれませんね。
緑茶を飲んだり、緑茶でうがいをすると風邪の予防につながる可能性があるといわれています。実は緑茶と風邪予防に関する研究は、いくつか実施されています。
健康な日本人男女を対象とした研究によると、カテキンの入ったペットボトルの緑茶を毎日飲んだ人たちは飲んでいない人たちと比べて、風邪の症状(鼻水・鼻づまり・頭痛)の期間や重症度が短縮したそうです。
さらに270人の医療従事者を対象とした研究では、トロミを付けたカテキン入り飲料が風邪の発症を予防すると示唆されたとの報告も。
風邪を予防したいときは、水分補給として緑茶を取り入れるのもよいですね。
風邪薬や葛根湯は、風邪をひいた際に症状をやわらげるために使用するものです。
たとえ風邪をひく前に風邪薬や葛根湯を飲んだとしても、風邪予防にはなりません。体調を崩してしまう可能性もあるので、薬は適切に使用しましょう。
ビタミンCや亜鉛が風邪予防につながる可能性を指摘している報告もありますが、サプリメントを摂ったからといって完全に風邪が予防できるわけではありません。
そもそもサプリメントの摂取は、食事で摂れない栄養を補うことが目的です。サプリメントで風邪を予防するよりも、1日3食バランスのよい食事を摂ることをおすすめいたします。
以上、風邪の予防には
・アルコール消毒
・マスクの着用(咳エチケット)
・うがい
・規則正しい生活
といった方法があるとわかりました。
風邪の主な原因は、ウイルスに感染することです。ウイルスを体内に入れないのは難しいので、今回ご紹介した方法で風邪の発症を予防しましょう。
また風邪をひいた場合は、医療機関を受診し適切な処置を受けてくださいね。
それでは当記事が、風邪を予防したいあなたの役に立ちますとうれしいです。
参考文献
政府広報オンライン 正しい手洗いの仕方
厚生労働省eJIM インフルエンザと風邪 正しい手指消毒 朝鮮ニンジン(高麗人参、オタネニンジン)
AMR臨床リファレンスセンター あなたにもできる 風邪・インフルエンザ対策 風邪に抗菌薬は効きません
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「感染症予防にビタミンCが効く」等の情報に注意
J-STAGE 風邪の鑑別診断 私たちと腸内細菌叢のつながり 効果的なうがいの仕方
PubMed Investigation of the prevalence of non-COVID-19 infectious diseases during the COVID-19 pandemic – PubMed
お茶と茶カテキンのインフルエンザと急性上気道感染症に対する予防効果:系統的レビューとメタ分析
医療従事者におけるカテキン摂取による急性上気道感染症の予防:ランダム化プラセボ対照試験
冬季の上気道感染症に対するカテキンの効果:ランダム化プラセボ対照二重盲検試験
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