糖尿病と「なんとなく続く皮膚のかゆみ」—その原因と対策、オンライン診療でできること
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シンクヘルスクリニック 院長
岩佐美穂
資格(産婦人科専門医、日本抗加齢医学専門医、がん治療認定医)
所属学会(日本産科婦人科学会、日本成人病(生活習慣病)学会、日本抗加齢医学会、日本癌治療学会)
日本赤十字社医療センター、虎の門病院で産婦人科医として臨床経験を積む。「忙しく頑張っている人がもっと気楽に相談できる場所を作りたい」との想いを胸に、2024年11月、オンライン診療専門のシンクヘルスクリニックを開院。
内科、皮膚科、医療用漢方、婦人科など、受診者の悩みに幅広く対応。心のケアも大切に、一人ひとりが安心して自分の体と向き合えるようサポートしている。
目次
1 その「かゆみ」、もしかすると血糖や体調の変化が関係しているかもしれません
2 糖尿病と皮膚のかゆみの関係
2.1 高血糖による脱水とバリア機能低下
2.2 汗をかきづらくなることで乾燥が強くなることも
3 女性の「気になるかゆみ」は性器カンジダ症の可能性も
4 HbA1cが“安定していても”油断できない理由
5 皮膚のかゆみ・乾燥を和らげるセルフケア
6 根本改善には血糖管理が重要
7 忙しい方でも続けられる、オンラインでの糖尿病診療
7.1 通院時間をゼロに、治療は継続
7.2 CGMで「隠れ高血糖」を見える化
8 まとめ
「最近、ふくらはぎやすねが乾燥してかゆい」
「保湿してもすぐぶり返す」
そんな症状はありませんか。 特に冬場は乾燥しやすいですが、糖尿病の方にとって、この「なんとなく続くかゆみ」は、単なる乾燥肌ではなく、血糖管理が悪化しているサインの可能性もあります。
仕事が忙しく病院から足が遠のいている方や、「HbA1cはそこまで悪くない」と安心している方こそ注意が必要です。
本記事では、かゆみと糖尿病の関係、そして忙しい方でも無理なくできる対策とオンライン診療の活用法について解説します。
| その「かゆみ」、もしかすると血糖や体調の変化が関係しているかもしれません
ふと気がつくと、無意識に足をかいてしまっていませんか。
乾燥のせいだと思って市販薬で対処していても良くならない場合、それは血糖値の状態が皮膚に現れているSOSかもしれません。
糖尿病の症状といえば「喉の渇き」などが有名な一方、「皮膚のかゆみ」も多くの患者さんが抱える悩みです。 とくに足のすねや背中は乾燥しやすく、一度かゆみが出ると執拗に続きます。
「数値は安定しているはず」と思っていても、体は敏感です。このかゆみを放置せず、合併症を防ぐための早期発見のきっかけとして受け止めることが大切です。
| 糖尿病と皮膚のかゆみの関係
なぜ、血糖値が高めだと皮膚がかゆくなるのでしょうか。
主な原因は「脱水」と「バリア機能の低下」、そして「自律神経の乱れ」です。
| 高血糖による脱水とバリア機能低下
血糖値の高い状態が続くと、体は糖分を尿として排出しようとし、水分も一緒に奪われます。その結果、皮膚に必要な水分が不足し、乾燥状態になるのです。
さらに、高血糖は皮膚細胞の代謝を乱し、外部刺激から肌を守る「バリア機能」を弱めます。そのため、健康な肌なら気にならない衣類の摩擦などにも過敏に反応し、強いかゆみを感じやすくなります。
| 汗をかきづらくなることで乾燥が強くなることも
糖尿病が長く続くと、神経障害の初期症状として、発汗を調整する自律神経の働きが鈍くなることがあります。
汗をかきにくくなると皮膚のうるおいが保ちにくくなり、乾燥やかゆみが強くなる場合があります。
| 女性の「気になるかゆみ」は性器カンジダ症の可能性も
女性の糖尿病患者さんで特に注意したいのが、デリケートゾーン(外陰部・腟)のかゆみです。
高血糖により尿中の糖分が増えると、糖を好むカンジダ菌が増殖しやすくなります。加えて免疫力の低下も重なり、「性器カンジダ症」の発症リスクが高まります。
性器カンジダ症の症状は、強いかゆみ、白いポロポロしたおりものが多い、ひりひりするなどがあります。
一般的なかゆみ止めでは治らず再発を繰り返す場合、背景にある高血糖の治療と、適切な抗真菌薬が必要です。これは糖尿病の一般的な合併症の一つですので、恥ずかしがらずに相談してみてはいかがでしょうか。オンライン診療なら、プライバシーを守りながら医師に相談可能です。
カンジダ症に関する情報はこちら
| HbA1cが“安定していても”油断できない理由
「HbA1cは7.0%前後で安定しているから大丈夫」と思っていませんか。
じつは、HbA1cは「過去の平均値」にすぎず、食後の急激な血糖上昇(血糖値スパイク)までは反映されません。
平均点が良くても、食後に血糖値が乱高下していると、血管や神経へのダメージは蓄積され、皮膚の乾燥やかゆみとして現れることも。
とくに、仕事が忙しく食事が不規則な方や、通院が途切れがちな方は、「隠れ高血糖」が起きている可能性があります。
かゆみは、現在の治療や生活習慣を微調整するタイミングを教えてくれていることがあります。
オンライン診療なら、そのサインを逃さずタイムリーに治療へつなげることが可能です。当院でも糖尿病に関するご相談を承っていますので、一度ご検討してみてはいかがでしょうか?
| 皮膚のかゆみ・乾燥を和らげるセルフケア
つらいかゆみを和らげるには、皮膚を清潔に保ち、外部刺激から守る「保湿」が最重要です。
入浴後、肌が湿っているうちにヘパリン類似物質や尿素配合クリーム、ワセリンなどをたっぷりと塗ってください。 また、熱いお湯は皮脂を奪うため、入浴は40度以下のぬるめに設定し、ナイロンタオルではなく泡で優しく洗いましょう。
肌着は静電気の起きにくい綿(コットン)やシルク素材を選び、どうしてもかゆい時は保冷剤で冷やすなど、「かかない」工夫を心がけてください。
| 根本改善には血糖管理が重要
セルフケアで一時的に良くなっても、すぐにぶり返す場合は、根本原因である「血糖値」へのアプローチが不可欠です。
体の中が脱水状態であったり、高血糖で神経がダメージを受けていては、どんなに丁寧に保湿しても改善しきれないことがあります。
逆に、血糖管理が良好になることで、皮膚症状が驚くほど落ち着くケースも多々あります。 皮膚トラブルは糖尿病のバロメーターです。皮膚科で改善しない場合は、内科的な治療調整が必要なサインと考え、HbA1cだけでなく「食後血糖」を意識した管理へシフトしましょう。
| 忙しい方でも続けられる、オンラインでの糖尿病診療
「管理が大事なのはわかるが、毎月の通院は負担だ」。そんな方にこそ、オンライン診療という選択肢があります。
| 通院時間をゼロに、治療は継続
スマートフォンやPCを使えば、職場や自宅から隙間時間に診察を受けられます。薬をもらうための長い待ち時間もありません。 忙しい世代の方でも、無理なく治療を継続できる環境が整っています。
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| CGMで「隠れ高血糖」を見える化
当院では、腕に貼るだけで24時間の血糖変動がわかるCGM(持続血糖測定器)を活用しています。
スマホをかざすだけで「食後のスパイク」が一目でわかるため、ご自身の体質に合った具体的な対策が可能です。 このデータを医師とオンラインで共有することで、対面以上に緻密な薬の調整や生活指導が可能になります。
また、健康管理アプリ・シンクヘルスを活用し、食事や運動のデータとCGMのデータを連動させて、より実生活に根付いた血糖管理をサポートします。今までCGMを体験したことがない方も、一度検討してみてはいかがでしょうか。
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| まとめ
糖尿病による皮膚のかゆみは、放置すると感染症や足病変などの深刻なトラブルにつながる身体からのメッセージです。 しかし、早期に原因に気づき、適切なコントロールを行えば症状は改善します。
仕事が忙しく、ご自身のケアを後回しにしていませんか。 HbA1cが安定していても、細かな血糖変動が起きているかもしれません。
「最近、足がかゆい」「保湿してもぶり返す」と感じたら、治療と生活を見直す良い機会です。まずは一度、お気軽にオンライン診療でご相談ください。
参考文献
国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「皮膚の病気」
日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 糖尿病と皮膚」
厚生労働省 e-ヘルスネット「糖尿病の合併症」




