生理痛の原因とは?産婦人科専門医がわかりやすく解説
執筆は、一般社団法人健幸会 シンクヘルスクリニック 代表理事・院長 大村 美穂先生が担当しました。
多くの女性が毎月悩まされている「生理痛」。
その原因や感じ方は人によってさまざまです。生理痛のメカニズムを理解し、自分の症状に合った対処法を見つけることが大切です。本記事では、生理痛の主な原因と関連する要因について解説します。
目次
1 生理痛の主な原因4つ
1.1プロスタグランジンの影響
1.2子宮内膜症
1.3子宮腺筋症
1.4子宮筋腫
2 生理痛に関連する要因
2.1子宮奇形
2.2ストレスや生活習慣
3 まとめ
生理痛の原因は人それぞれですが、大きく分けて以下の4つが挙げられます。ぜひ、自分に合った対処法を見つけるヒントにしてみてください。
生理中には、「プロスタグランジン」という化学物質が体内で放出されます。プロスタグランジンは子宮を収縮させ、月経血を体外に排出するのを手助けしてくれるものですが、過剰に分泌されると、生理痛や不快感を引き起こすことがあります。
「婦人科で診察を受けても、病気がみつからない」場合でも、プロスタグランジンの影響で生理痛が辛いと感じる方は少なくありません。。とくに、若い女性や出産経験のない方の生理痛の原因となっていることが多いです。
子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮以外の場所にできてしまう疾患です。この子宮内膜症の病変が炎症や癒着を引き起こすことで、強い生理痛を伴うことがあります。
また、症状が悪化すると、生理期間以外にも痛みが出る場合があるのです。。とくに、20〜30歳代の女性で発症するケースが多く、生理のある女性の10人に1人が発症するといわれています。
そして、子宮内膜症は閉経まではだんだんと症状が悪くなることが多いため、定期的な経過観察と、症状によっては継続的な治療が必要です。
さらに、卵巣に子宮内膜症ができると卵巣の機能が低下し、癒着によって卵管の通りが悪くなることがあります。このため、子宮内膜症は不妊症の原因にもなり得るのです。実際には、不妊症の方の半数近くで子宮内膜症が見つかるともいわれています。
子宮腺筋症は、子宮内膜に似た組織が子宮の筋肉の中にできる疾患です。生理痛のほか、過多月経(月経の量が多いこと)や、過長月経(月経が9日以上続くこと)などの症状があります。とくに、出産経験のある方にみられることが多いです。
また、子宮腺筋症も月経によりだんだんと症状が悪くなることが多いため、定期的な経過観察が大切です。症状がつらい場合には、医師と相談して継続的な治療を行うことで、日常生活の負担を軽減することができます。
子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍です。30歳以上の20〜30%にみられます。筋腫の大きさや位置によっては、生理痛だけでなく、過多月経、過長月経を引き起こすことがあります。
また、子宮筋腫は月経がある時期にだんだんと大きくなることがあるため、定期的な経過観察が重要です。症状によっては、継続的な治療が必要になることがあります。
生理痛の強さや頻度には、さまざまな要因が関係しています。個人差が大きいものの、以下のようなポイントが影響を与えることがあるのです。
子宮の形に異常がある場合、月経血の排出がスムーズに行われず、痛みを伴うことがあります。
ストレスや睡眠不足、運動不足なども生理痛を悪化させる要因となることがあります。
以上、生理痛の主な原因と関連する要因について解説しました。
生理痛は、「単なる”痛み」ではなく、体からのサインであることがあります。原因を理解し、適切な対応を取ることで、快適な生活を送ることができます。生理痛でお悩みの方は、ぜひお気軽に医療機関にてご相談ください。
それでは、当記事をご覧いただいた生理痛に悩む方が、一人でも悩みから解放されて自分らしさを取り戻すきっかけになれば幸いです。