フェムテックとは~フェムケアとの違いや女性特有の健康問題も~
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1 フェムテックとはどんな意味なのか
1.1 注目されている理由
2 フェムケアとの違いはなに?
2.1 どんな商品があるのか
3 女性特有の健康問題について
3.1 従業員が求めるサポート
3.2 管理職が求めるサポート
4 企業がフェムテックを活用して従業員にできること
4.1 月経やPMS
4.2 更年期
5 フェムテックアンバサダー・カンパニーとは
5.1 経済産業省による補助金の公募も
6 まとめ
最近「フェムテック」という言葉をよく耳にするようになりましたね。
フェムテックは海外で以前から注目されており、女性の健康をサポートする商品やサービスを紹介する際に使われています。では、どのような意味が込められているのでしょうか。
今回は、フェムテックの意味や女性特有の健康問題との関係について解説します。
フェムテックとは、女性(Female)と技術(Technology)をかけ合わせた造語で、女性特有の健康問題を、ITやIoTといったテクノロジーの力で解決するという意味が込められています。
日本でフェムテックが注目されるようになったのは、2020年以降とごく最近のことです。2021年には「フェムテック」が新語・流行語大賞にノミネートされるなど、国内での関心が高まっています。さらに、同年には経済産業省が補助金の立ち上げを行ったことで、フェムテック市場は急拡大しているのです。
フェムテックが注目されているのは、女性特有の健康問題が経済社会に大きな影響を与えているからです。
経済産業省の発表によると、女性特有の月経随伴症状(※)による労働損失は4,911億円にのぼると試算されており、更年期を含めるとさらに大きな損失となると想定されます。
(※)月経随伴症状とは月経に伴う諸症状のことで、月経困難症、月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)などがあります。
いまや日本の労働人口は半数を女性が占めているため、女性特有の健康問題による労働損失は喫緊の課題なのです。
そこで、月経や更年期に関するトラブルをテクノロジーの力で解決するフェムテックが注目されるようになりました。
フェムテックがITやIoTといったテクノロジーの力で女性特有の健康問題を解決するのに対し、フェムケアは、テクノロジー以外の解決法も含めた商品やサービスのことです。
つまり、フェムケアはフェムテックよりも大きな枠組みを指します。
フェムテック、フェムケアにはどのような商品があるのか、それぞれご紹介します。
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女性はホルモンの影響により、ライフステージごとにかかりやすい病気や問題点が異なります。
思春期 | 性成熟期 | 更年期 | |
体の変化・ イベント |
初経 | 妊娠・出産 仕事と子育て |
閉経 仕事と親の介護 |
体の悩み・ かかりやすい病気 |
月経困難症 月経前困難症 月経不順・無月経 貧血 やせ 子宮頸がん |
月経困難症 月経前症候群(PMS)月経前困難症 月経不順・無月経子宮内膜症 子宮筋腫 貧血 やせ不妊 乳がん 子宮頸がん甲状腺の病気 うつ |
更年期障害 乳がん 子宮体がん 卵巣がん 甲状腺の病気 うつ |
とくに経済社会を支える労働年齢の性成熟期と更年期には、ホルモンバランスの変化により多様な影響を受けます。
先ほども触れた通り、女性特有の健康問題による労働損失は大きく、女性従業員を雇う企業としても見過ごせない課題なのです。
そのため、フェムテックの活用は企業が抱える女性の健康問題の解決策になり得るといえます。
女性従業員から企業側に求められているのは「外部の専門家による相談窓口の設置」です。
働く女性には、ライフステージによってさまざまな体の変化と悩みがあり、とくに多くあげられるのが「月経関連の症状や疾病」です。
日本産婦人科学会によると、月経のある女性の50~80%が何らかの月経困難症状を経験しており、女性の2人に1人は月経に関する悩みを抱えているといえます。
ところが、こうした悩みは周囲に相談しにくいという意見が多く、問題を抱えていても解決はあきらめてしまったという方が少なくありません。
そのため、女性従業員側からは専門的な知識を持つ医師など、外部に相談できる窓口の設置が求められているのです。
女性従業員を部下に持つ管理職からも同様に、女性特有の健康問題に対して「外部の専門家に相談できる窓口の設置」が求められています。
とくに、男性管理職の場合は女性従業員が抱える健康問題に対して適切なアドバイスができないと悩む意見が多くあり、円滑な組織運営のためにも必要とされているのです。
企業がフェムテックサービスを福利厚生として導入することで、それぞれのライフステージに起こる健康問題に対処できる可能性があります。
今回は、当院で行っているオンライン診療と、女性のためのオンライン医師相談、オンラインカウンセリングを例にご紹介いたしましょう。
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先ほども触れたように、月経やPMSは女性の2人に1人がトラブルを経験しています。オンライン診療では症状を丁寧にヒアリングして、低用量ピルの処方などを行います。
また、オンライン医師相談やオンラインカウンセリングで普段は周囲に相談できない体の悩みを打ち明けることで、気持ちの整理が可能です。
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更年期症状に悩む方がオンラインクリニックを受診し、必要に応じてホルモン補充療法(HRT)や医療用漢方の処方を受けることができます。
更年期症状を感じる年齢の女性は、仕事の他に親の介護や子育てが重なる「ダブルケア」に陥りやすく、忙しくて病院を受診する時間がない方も多くいます。
オンライン診療であれば、都合のよい時間に自宅や職場からスマートフォンやパソコンから受診が可能で、受診のために仕事を休む心理的負担も軽減できるのです。
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フェムテックアンバサダー・カンパニーとは、一般社団法人日本フェムテック協会が行っている表彰制度です。
企業がフェムテックを通じて、従業員のヘルスリテラシー向上や相互理解に向けて取り組めるよう、従業員の日本フェムテック協会認定資格3級の保有状況に応じて、ゴールド・シルバー・ブロンズいずれかのロゴ利用権と表彰状が発行されます。
じつは、ヘルスリテラシーが高い方ほど生産性が高いという報告(※)もあり、フェムテックの導入はこうした企業の生産面にも大きな利益をもたらし得るのです。
※日本医療政策機構「働く女性の健康増進に関する調査」(2018)
経済産業省は女性特有の健康問題によって望まない離職などを防ぐため、令和3年から毎年補助金制度を行っています。それが「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」です。
働く女性が健康問題に悩み、退職まで追い込まれないためにフェムテックの活用を希望する企業に対し、その経費の一部が補助されます。
この取り組みによりフェムテックが企業へ導入されれば、女性従業員の健康問題や離職の解決だけでなく、新卒採用など新たな人材の確保にもよい影響を与え、ひいては企業価値の向上も期待できます。
フェムテックとは、女性特有の健康問題をITやIoTといったテクノロジーの力で解決することを指し、産業としても急拡大しています。
また、フェムケアはフェムテックより大きな枠組みで、テクノロジー以外の解決法も含めた商品やサービスです。
これらはとくに働く女性の月経や更年期といった、女性特有の健康問題による労働損失を防ぐために活用できると考えられています。
なかでも、女性従業員や女性従業員を部下に持つ管理職からは「外部の専門家による相談窓口の設置」を求める声が多く、こうしたニーズを満たすオンライン診療は、問題解決策として有用だといえます。
フェムテックの導入には経費の一部を補助する制度もあり、企業の福利厚生として活用することで、離職の予防や新たな人材確保だけでなく、企業価値の向上も期待できるでしょう。
プレスリリース
企業が抱える女性特有の健康問題への対策をサポート。シンクヘルスクリニックが法人向けオンライン診療サービスを開始
参考文献
経済産業省 フェムテック 健康経営における女性の健康の取り組みについて フェムテックを活用した働く女性の就業継続支援
内閣府男女共同参画局 コラム3 女性活躍とフェムテック
一般社団法人日本フェムテック協会 フェムテックアンバサダー・カンパニー
厚生労働省 令和2年の働く女性の状況 女性特有の健康課題 | 働く女性の心とからだの応援サイト
日本医療政策機構「働く女性の健康増進に関する調査」(2018)