皮膚科でニキビ治療のピル処方はできる?注意点やセルフケアも解説
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目次
1 皮膚科でもピル処方はできる?
1.1 【ニキビ治療目的】婦人科以外でもピル処方が可能
1.2 【生理に関する目的】婦人科での検査が必要
2 ピルのニキビ治療について
2.1 ニキビができるメカニズム
2.2 ピルとニキビの関係
2.3 ニキビ痕には有効ではない
2.4 ピルの服用をやめると再発する可能性がある
2.5 ピルでニキビが増えることはある?
2.6 肌荒れにも効果あり
3 ニキビにおすすめの低用量ピルの種類
3.1 マーベロン
3.2 ファボワール
3.3 トリキュラー
4 ピル服用の注意点
4.1 副作用
4.2 服用禁忌
4.3 正しい服用方法を守る
4.4 血栓症のリスク
5 ニキビ予防のセルフケア
5.1 正しい洗顔やスキンケアをする
5.2 食生活の改善
5.3 ストレスを溜めない
5.4 紫外線対策をする
5.5 睡眠時間を確保する
6 まとめ
ピルというと、避妊のために飲むイメージがあり、婦人科でなければ処方してもらえないと思っていませんか?
しかし、年代によっては、婦人科に行くのはハードルが高いと感じる方も少なくありません。
実は、ニキビ治療のためにピルを処方するのは、婦人科でなくても対応してもらえることがあります。
この記事では、皮膚科でのニキビ治療の際にピル処方ができるのか、ピルの注意点などを詳しく解説します。
どこでピルを処方してもらえばいいのかわからない方や、ニキビ治療とピルの関係を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
ピルの処方は婦人科だけでなく、他の科でも可能です。
どのようなケースなら婦人科以外でピルを処方できるのか、解説します。
ニキビの治療を目的とするピル処方は、婦人科以外でも可能です。
ただし、皮膚科や内科での処方の場合でも、婦人科と同じく以下のような医師の診療や検査を行う必要があります。
・血圧測定
・身長・体重測定 など
ピル処方においては、問診が重要です。
疾患や習慣、状況によっては、ピルの処方が難しい、または禁忌とされている場合もあるため、問診できちんと健康状態を把握する必要があります。
また、必要に応じて他の検査が行われることもあります。
なお、ピルは保険適用外の場合もあるため、事前に負担額を確認しておきましょう。
生理に関する改善や治療が目的の場合、婦人科での検査が必要なため、ピル処方は婦人科で受けましょう。
ピルには、避妊の他にも副効用としてさまざまな利点があります。
・過多月経の改善
・子宮内膜症などの症状改善
・月経移動 など
これらの改善や治療を目的とするピル処方の際は、問診や血圧測定だけでなく、内診が必要なケースがあるため、婦人科での検査が望ましいです。
ピルの服用でのニキビ治療は、ピルに含まれる女性ホルモンによってホルモンバランスを整えることで効果が期待できます。
ここでは、ピルとニキビ治療の関係について、詳しく解説します。
ニキビは、皮脂によって毛穴が詰まることで始まり、面皰(めんぽう)と呼ばれる白ニキビ・黒ニキビが発症します。
皮脂の分泌にはホルモンが関与しています。生理前の女性の身体は黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が増えますが、プロゲステロンが増えることで、相対的に男性ホルモンであるアンドロゲンの影響が強くなり、皮脂の分泌を促します。
プロゲステロンが増えると同時に、卵胞ホルモン(エストロゲン)は減少し、保水効果が落ち乾燥しやすいことも、ニキビができやすくなる要因です。
毛穴に溜まった皮脂を餌ににニキビ菌が増殖して炎症を起こすと、炎症性痤瘡(えんしょうせいざそう)と呼ばれる赤いニキビや膿を伴う黄色っぽいニキビが発症します。
ピルにはプロゲステロンとエストロゲンが含まれており、これらが体内のホルモンバランスを整える効果があります。
そのため、生理前にプロゲステロンが過剰分泌されるのを抑え、体内のホルモンバランスが乱れにくくなることで、皮脂の分泌も抑制できるのです。
皮脂が毛穴に詰まることがニキビの原因となるため、皮脂の分泌を抑制することでニキビの発症を減少させることができます。
「OC(経口避妊薬)のニキビへの有効性を評価した調査ではプロゲスチンの種類により差はあるものの、55%前後の有効性が示されている」とされ、ピルによってニキビ治療の選択肢が増えることにもなります。
ただし、ピルをニキビ治療のために服用する場合は、保険適用外であり自費診療となるケースが多いことや、副作用が起こる可能性があるなどの注意事項を理解したうえで治療を開始しましょう。
ピルはホルモンバランスを整えて、今あるニキビを鎮静化したり、発症するニキビを抑制したりする効果は期待できますが、それ以前にできたニキビ跡を消すことはできません。
ニキビ跡の治療には、内服薬や注射、ケミカルピーリングなどの他の治療が選択される可能性があるため、医師に相談するとよいでしょう。
ピルの服用をやめると、通常、ピル服用中止後1~3ヶ月で月経が再開し、ホルモンバランスが服用前の状態に戻るため、ニキビが再発する可能性があります。
ニキビができる原因が、生理前にプロゲステロンの増加による皮脂の過剰分泌の場合、ピルをやめてから3ヶ月ほどで生理が再開するため、同時期にニキビもできやすくなるかもしれません。
ピルの副作用のひとつとして、まれですがニキビが増える方もいます。
服用を続けることで、ホルモンバランスが安定して症状が治まるマイナートラブルの場合は、3ヶ月間は服用を続けましょう。
ただし、期間が過ぎても症状が改善されない、我慢できないほど症状が強いなどのときは、ピルの種類が合っていない可能性があります。
ピルには種類があり、プロゲステロンやエストロゲンが含まれる量がそれぞれ異なります。
アンドロゲン(男性ホルモンの一種)優位の体質の方は、男性ホルモン活性の少ないピルの種類を選ぶことでニキビができる副作用が抑えられる可能性があるため、種類の変更は医師とよく相談して決めましょう。
ピルに含まれる女性ホルモンによって、体内のホルモンバランスが整えられて、排卵が抑制されて生理のコントロールがされ、生理前に肌荒れが起こる症状を軽減する効果が期待できます。
ピルの服用により排卵が抑制され、ホルモン変動が抑えられることで、プロゲステロンの影響による皮脂分泌が減少します。それによってニキビができにくくなるのと同時に肌荒れの改善も期待できます。
ニキビ治療をするにあたり、おすすめの低用量ピルの種類があります。
ニキビの発症原因である皮脂の過剰分泌を抑えるためには、ピルに含まれている黄体ホルモンの種類が鍵になると言えるでしょう。
ピルは配合されている黄体ホルモンによって、第1世代~第4世代に分類され、ニキビ治療には一般的に第3世代に含まれる「デソゲストレル」が適しています。
ただし、体質やピルとの相性もあるため、合わないと感じたら医師へ相談しましょう。
ここで紹介する低用量ピルは、ニキビ治療に効果が期待できる種類です。
マーベロンは、デソゲストレルという第3世代に分類される黄体ホルモンが含まれている低用量ピルで、ニキビ治療に適しています。
デソゲストレルは、男性ホルモンの作用が少ないことが特徴です。皮脂の分泌を抑えニキビをできにくくする効果が期待でき、ニキビ治療にも多く服用されているピルです。
ファボワールはマーベロンの後発薬品(ジェネリック医薬品)で、成分に違いはほとんどないため、マーベロンと同じくにニキビ治療に適しているピルです。
異なるのは、後発薬品のため価格に差が出る可能性がある点です。
ただ、ピルは自費診療の場合が多いため、クリニックの価格設定によるところが大きく、ファボワールの方が低価格の場合もあれば、マーベロンの価格が低く設定されていて同価格の場合もあります。
トリキュラーは、第2世代に分類される黄体ホルモン「レボノルゲストレル」が含まれている低用量ピルです。
ホルモンバランスを女性の身体の自然な分泌サイクルに近い状態に整え、不正出血が起こりにくくなることが期待できます。
ただし、副作用としての血栓症には注意が必要な種類です。
他のピルでニキビ治療の効果が思わしくなかったり、薬が合わなかったりした場合は、トリキュラーが有効なケースもあるため、医師とよく相談してピルの変更を検討してみてはいかがでしょうか。
ピルを服用する際は、ニキビの治療が目的とはいえ、注意点を守らなければなりません。
どのような副作用の可能性があるのか、ピルを使用してはいけない禁忌とされる条件などを知っておきましょう。
また、正しい服用方法についても合わせて解説します。
ピルの副作用として、以下のような症状が現れることがあります。
・嘔吐
・頭痛
・不正出血
・頭痛
・倦怠感
・体重増加 など
副作用の症状には個人差があるため、上記以外の症状が現れることもあるかもしれません。
ただ、これらはマイナートラブルと呼ばれ、ピルの飲み始め1~3ヶ月に起こることが多く、体内のホルモンバランスが整って安定する3ヶ月を目安に症状が治まることがほとんどです。
3ヶ月経っても続いていたり、我慢できないほど強い症状があったりするときは、ピルが合っていない、何か病気が隠れているなどの可能性があるため、医師の診察を受けましょう。
ピルの服用禁忌とされているのは、以下の通りです。
・高血圧(160/100mmHg以上)
・妊娠、授乳中、分娩後(6週以内)
・持病がある(心血管疾患、片頭痛、乳房疾患、虚血性心疾患患者、脳卒中、心弁膜疾患、糖尿病、肝硬変、肝腫瘍、静脈血栓塞栓症など)
これらは、容認できない健康上のリスクがあるとされ、ピルの処方ができません。
また、以下のような方は、ピルの処方ができない条件があり、利益を上回るリスクがあるとされています。
・喫煙者(35歳以上、1日15本未満)
・高血圧(140~159mmHg/90~99mmHg)
・前兆を伴う片頭痛
・乳房疾患
・胆嚢疾患
・肝硬変(軽症) など
ただし、問診で他にピルをできないと診断される場合もあり、血栓症を始めとする副作用のリスクの回避のためにも、医師の指示に従ってください。
ピルは毎日同じ時間に服用し、薬によっては休薬期間や時期によって薬の形状が異なるものもあるため、正しい服用方法を確認しておく必要があります。
飲み忘れた場合の対処法は、忘れた時間や日数、薬によって異なります。
ニキビ治療だけではなく避妊の効果も期待している場合は、特に正しい服用方法をよく確認しておきましょう。
ピルの服用には、わずかですが血栓症のリスクが伴います。
ピルの非使用者 | ピルの使用者 | 妊婦 |
---|---|---|
1~5/10,000人 | 3~9/10,000人 | 5~20/10,000人 |
ピルの非使用者よりも使用者の方が年間の血栓症発症のリスクは高くなりますが、妊婦の発症頻度の方がさらに高いと報告されています。
少ないとはいえ、ピル服用の際には血栓症のリスクがあると理解したうえで、治療の選択を行いましょう。
ニキビ治療にピルを服用するだけではなく、セルフケアで工夫をするのが重要です。
ここでは、ニキビを減らす・作らないセルフケアの方法を紹介します。
1日何度も洗顔したり、ゴシゴシと強くこすったりするのは、かえってニキビの悪化につながってしまう可能性があります。
1日2回、朝晩に低刺激の洗顔料を使用して、しっかり泡立てて優しく洗顔することが推奨されています。
また、スキンケアには低刺激、ノンコメドジェニックテスト(ニキビの初期段階のコメドを引き起こさないか確認するテスト)済みで、保湿性を考慮した製品が選ばれることが一般的です。
正しい洗顔とスキンケアは、ピルの服用で得られる効果を助け、ニキビ治療につながります。
ニキビが悪化する、またはできやすくなる特定の食品はありません。
しかし、例えば乳製品を食べすぎるとニキビができると体感している場合は、避けた方がいいでしょう。
何かを食べたらニキビができる、逆にニキビが治るなどの食品は、科学的にはありません。
特定の食品を食べすぎたり、全く食べなかったりするのは、健康上よくないため、さまざまな食品をバランスよく食べる食事を意識しましょう。
ストレスはホルモンバランスの乱れが起こり、皮脂の分泌量が増えてしまう可能性があります。
肌の水分量を保つエストロゲンはストレスを感じると減少し、肌荒れの原因にもなってしまいます。
睡眠不足や人間関係、仕事、学校など、何にストレスを感じるかには個人差があり、その解消方法も人それぞれです。
自分に合ったストレス解消法を見つけ、ストレスを溜めない生活を心がけましょう。
紫外線を肌に直接浴びて日焼けをすると、肌が乾燥してニキビの悪化につながってしまいます。
ニキビができている肌に日焼け止めを塗るのをためらってしまうかもしれませんが、成分の優しい日焼け止めを使用して、予防しましょう。
紫外線は、夏の日差しが強い時期だけではなく、曇りの日でも、季節も関係なく降り注いでいます。
家の中でも油断せずに日焼け止めを塗り、外出時には帽子や日傘などで紫外線を遮る工夫をしましょう。
睡眠不足はホルモンバランスの乱れや、ストレスの原因となります。
また、睡眠中は皮膚を修復する成長ホルモンも分泌されるため、睡眠時間が不足すると十分な肌の修復がされない可能性があります。
質の良い睡眠を心がけ、内側からニキビをできにくくするのも、セルフケアのひとつです。
ニキビ治療のためのピルの処方は婦人科だけでなく、皮膚科や内科などでも可能です。
ピルの服用でホルモンバランスが整うと、ニキビの発症に影響していたプロゲステロンの過剰分泌が抑えられて、ニキビ治療につながります。
ただし、ピルの副作用や服用の注意点をよく理解し、医師の指示に従って正しく服用することで効果が期待できると覚えておきましょう。
副作用が続く、我慢できないほどの症状がある場合は、すぐにクリニックへ相談してみてください。
また、ピルに頼るだけでなく、セルフケアにも目を向けて、ニキビに関する悩みを解消するための工夫をしてみましょう。
当院では、オンライン診療でピルの処方を行っております。
ニキビ治療のピル処方も可能で、婦人科と皮膚科の両方で対応できるため、ニキビにお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
参考文献
日本産婦人科学会 低用量傾向避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)
松本 安代、山辺晋吾、出田 和久 日本人女性の低用量ピル使用によるQOLへのインパクト
日本皮膚科学会 尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)・酒皶(しゅさ)治療ガイドライン2023
日本産婦人科学会 低用量経口避妊薬に使用に関するガイドライン(改訂版)
低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)
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