女性の不調「イライラ・気分の波」は我慢しないで|医師が解説する改善法
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日本赤十字社医療センター、虎の門病院で産婦人科医として臨床経験を積む。「忙しい女性がもっと気楽に相談できる場所を作りたい」との想いを胸に、2024年11月、オンライン診療専門のシンクヘルスクリニックを開院。
婦人科(生理痛・更年期)、皮膚科、医療用漢方など、女性ならではの悩みに幅広く対応。心のケアも大切に、一人ひとりが安心して自分の体と向き合えるようサポートしている。
目次
1 更年期のイライラ・気分の波に悩むあなたへ
1.1 産婦人科医として日常診療でよく見る悩みを提示
1.2 治療後の成功体験を提示
2 更年期のイライラに使われる治療法
2.1 ホルモン補充療法(HRT)
2.2 漢方薬
2.3 サプリメント
3 生活の工夫でイライラを軽減する
3.1 ライフスタイルの工夫
3.2 漢方を取り入れたライフスタイル改善
4 つらい更年期症状は我慢せず相談を
| 更年期のイライラ・気分の波に悩むあなたへ
40代後半から50代にかけて、多くの女性が経験する「更年期」。
その中でも「イライラする」「気分が急に落ち込む」といった感情の波は、実はとてもよくある症状です。決して“自分だけがおかしい”わけではなく、ホルモンの変化によって誰にでも起こり得る自然な変化なのです。
| 産婦人科医として日常診療でよく見る悩みを提示
産婦人科外来では、更年期世代の女性から「感情のコントロールができない」と相談を受けることが多くあります。
例えば――
・些細なことでイライラしてしまう
「家族が洗濯物を脱ぎっぱなしにしただけで、大きな声で注意してしまう自分に驚きます。後で反省するのですが、どうしてもイライラが抑えられません。」
・気分がジェットコースターのように急変する
「午前の仕事中は穏やかに過ごしていたのに、昼休みに同僚の何気ない一言で突然気分が沈み、そのあと急にまた元気になったり…。自分でも感情の振れ幅が激しいと感じます。」
・イライラの反動で自己嫌悪に陥る
「子どもにイライラして注意をしたあと、自己嫌悪に陥って泣いてしまうことがあります。『なんでこんなに感情的になるんだろう』と、自分を責めてしまうのです。」
・漠然とした不安や焦燥感がある
「特に理由もないのに、夜になると胸がざわざわして落ち着かない。将来のことや体調のことを考えると不安で眠れないこともあります。」
更年期はホルモン的にも大きな変化の時期。さらに仕事では責任ある立場に就いていたり、子育てや介護といった家庭の課題が重なる時期でもあります。そのため心身ともに負担を感じる女性は少なくありません。
| 治療後の成功体験を提示
実際に治療を受けた患者さんからは、次のような声をいただきます。
・「イライラが減り、家族に優しく接する余裕ができました」
・「自分を責めることが少なくなり、気持ちが前向きになりました」
感情の波が安定することで、生活や人間関係の質が大きく改善するかもしれません。
どんな治療か気になる方は、ぜひ当院の治療内容をご覧ください。
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| 更年期のイライラに使われる治療法
更年期の気分の不調には、ホルモンバランスを整える治療や体質から改善を目指す治療など、いくつかの選択肢があります。
症状の程度や体質、持病の有無によって適した方法が異なるので、以下で解説します。
| ホルモン補充療法(HRT)
更年期世代の女性に不足している女性ホルモンを補うことで、自律神経の乱れや感情の不安定さを改善します。
補充する女性ホルモンはエストロゲンとプロゲステロンです。プロゲステロンは子宮体癌予防のお薬なので、子宮を摘出されている方はエストロゲンのみの補充となります。
エストロゲン製剤には、貼り薬・塗り薬・飲み薬があり、ご自身に合った方法で補充が可能です。プロゲステロン製剤は飲み薬です。
ホルモン補充療法は気分の不調以外にも、ほてりや不眠など、さまざまな更年期症状に効果が期待できます。
比較的早く効果を実感しやすいことが特徴で、2〜4週間程度で症状の改善を実感される方もいます。症状が重く、早く改善したいという方におすすめです。
一方で、乳がんや子宮体癌、血栓症の既往がある方にはおすすめできません。
更年期のホルモン補充療法(HRT)について、こちらの記事で詳しく解説しています。もっと知りたい方は、どうぞご覧ください。
更年期障害の治療とは?~症状からホルモン療法(HRT)について解説~
| 漢方薬

体質や症状に合わせて選ぶことができ、副作用が少なく続けやすい治療です。
西洋薬に抵抗がある方でも取り入れやすい治療法です。
更年期の気分の不調におすすめの漢方薬
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):イライラ、のぼせや下腹部のはりがある方に
・女神散(にょしんさん):ヒステリー傾向、頭痛、のぼせ、めまい、動悸がある方に
更年期の不調を整える漢方について、こちらの記事で紹介しています。「漢方も気になる…」という方は、ぜひご参考ください。
更年期と漢方〜ゆらぎ期をやさしく支える東洋医学の力〜
| サプリメント
「薬を飲むほどではないけれど、イライラや気分の波が気になる」という方には、サプリメントによるセルフケアもおすすめです。
特に女性ホルモンに似た働きをするエクオールを含む製品は、ホルモンの変化に伴う気分の不調を和らげるサポートが期待できます。
当院では医療機関専売品の「エクエルプチ」を取り扱っています。副作用を気にせず続けやすく、臨床研究で肌のハリや骨代謝の維持にも効果が報告されているサプリメントです。
関連記事
エクエルプチで40代からの女性の不調をセルフケア〜薬に頼らずにエクオールを増やす新しい選択〜
| 生活の工夫でイライラを軽減する
薬物治療だけでなく、日常生活の工夫でも更年期の気分の不安定さを和らげることができます。
| ライフスタイルの工夫

まず、ストレスマネジメントが重要です。仕事や家事でイライラしたときには、深呼吸や軽いストレッチを取り入れるだけでも気持ちが落ち着きます。短時間でも、心身をリフレッシュさせる時間を意識的に持つことがポイントです。
また、規則正しい生活リズムも症状改善に役立ちます。毎日ほぼ同じ時間に起きることで体内時計が整い、朝の目覚めがすっきりして気分の安定につながります。寝だめや不規則な就寝時間は、自律神経の乱れや感情の波を強めることがあるため注意が必要です。
体を温める習慣も効果的です。ぬるめのお風呂にゆっくり浸かることで血流が改善され、体の緊張がほぐれます。お風呂上がりに軽いストレッチを行うと、さらにリラックス効果が高まり、寝つきの改善にもつながります。
運動も気分の安定に役立つ方法の1つです。通勤時の早歩きや短時間のウォーキングなど、軽い有酸素運動を取り入れるだけでも、ストレス解消や気分転換になります。運動は長時間でなくても、継続することが大切です。
さらに、睡眠の質を意識することも重要です。寝る直前のスマホやパソコンの使用を控え、就寝前にリラックスできる時間を作ると、夜中の目覚めが減り、朝の気分も安定します。また、趣味や読書、音楽など、自分が心地よく過ごせる時間を意識的に確保することも、心のリフレッシュに役立ちます。
これらのライフスタイルの工夫を日常に取り入れることで、感情の波を和らげ、生活全体の質を改善することが可能です。症状や生活状況に合わせて、自分に合った方法を見つけることが大切です。
| 漢方を取り入れたライフスタイル改善
更年期の不調には、漢方薬が有効な選択肢の一つです。加味逍遙散(かみしょうようさん)や抑肝散(よくかんさん)といった処方は、イライラや気分の浮き沈みによく用いられます。ただし、漢方の効果をより引き出すためには、日常生活の工夫も大切です。
まず、冷えを避けて体を温める工夫がポイントです。漢方では「冷え」が気・血の巡りを妨げ、気分の不安定や疲れやすさにつながると考えられています。靴下や腹巻きを利用したり、季節に応じて温かい飲み物を選ぶとよいでしょう。また、軽い運動や入浴で体を温め、血の巡りを良くすることは、漢方的にも気分の安定に役立つとされています。
次に、食事でバランスを整えることも重要です。油分や甘いものを摂りすぎず、野菜・豆類・魚などを中心にした和食が漢方的にも理想的です。特に、大豆イソフラボンを含む豆腐や納豆は女性ホルモンの働きをサポートするため、更年期世代に適しています。
漢方は「体質や生活全体を整える」ことを重視するため、服薬だけでなく日常の過ごし方も含めて改善に取り組むことで、より高い効果を期待できます。
漢方の診療ページはこちらから
| つらい更年期症状は我慢せず相談を
更年期の気分の不調は、誰にでも訪れる自然な変化です。
「仕方ない」と我慢するのはやめましょう。適切な治療や生活改善で症状を和らげることができます。
当院ではホルモン補充療法・漢方・生活指導まで幅広く対応しており、オンライン診療も行っています。遠方やお忙しい方でも無理なくご自宅で診療を受けられるので、どうか一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
あなたの毎日が、少しでも楽に前向きに過ごせるようにお手伝いします。




