ニキビ改善に効果的な漢方は?処方される薬の特徴を解説
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目次
1 ニキビに漢方が効果的な理由
1.1 体質改善作用によるニキビ症状の改善効果
1.2 気を抑えてニキビ改善を目指す
2 ニキビ改善に効果的な漢方
2.1 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
2.2 加味逍遥散(かみしょうようさん)
2.3 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
2.4 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
3 ニキビの種類に合わせて漢方薬を選ぶことが大切
3.1 膿のあるニキビ
3.2 皮脂の多いニキビ
3.3 生理によるニキビ
3.4 ストレスや生活習慣の乱れによるニキビ
4 ニキビ治療に漢方を服用するときの注意点
4.1 飲み合わせに注意する
4.2 必ず用法・用量を守って服用する
4.3 副作用が生じるリスクを理解しておく
4.4 正しいスキンケアと規則正しい生活習慣を身につける
5 まとめ
漢方はさまざまな症状に処方されますが、ニキビ症状に対しても効果的であることを知っている方は少ないかもしれません。
ニキビ改善に効果的な漢方としては、桂枝茯苓丸や加味逍遥散などが挙げられます。
この記事では、ニキビ改善に効果的な漢方について詳しく解説していきます。
漢方薬の選び方やニキビ治療に漢方を服用するときの注意点などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
ニキビに漢方が効果的な理由として、以下の2つが挙げられます。
・気の巡りを整えてニキビ緩和を目指す
ここでは上記2つの理由についてそれぞれ解説します。
ニキビに漢方が効果的な理由の一つとして、体質改善によるニキビ症状の緩和の期待が挙げられます。
漢方の最大の特徴は、単に症状を抑えるだけでなく、体の内側からニキビができにくい体質へと導くことです。
西洋医学のニキビ治療では、抗生物質や外用薬を使用することが一般的です。これらは炎症を抑える即効性がありますが、根本的な原因の解決には至らないことがあります。
一方、漢方は『気・血・水』のバランスを整え自律神経を整えることで、ホルモンバランスの乱れに伴う症状を緩和し、ニキビを繰り返しにくくする効果が期待できます。
具体的にニキビに効果的な漢方としては、『桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)』や『加味逍遥散(かみしょうようさん)』、『当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)』などが挙げられます。
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| 気の巡りを整えてニキビ緩和を目指す
漢方では体のエネルギーである『気』の流れが乱れると、さまざまな不調が生じると考えられています。
特にストレスや緊張が続くと、『気滞(きたい)』と呼ばれる状態になり、気の流れが滞り、ニキビができやすくなる原因となります。
こうした気の乱れを整える漢方として『加味逍遙散(かみしょうようさん)』などの漢方薬が用いられることがあります。
加味逍遙散はストレスによる自律神経の乱れを改善することで、ホルモンバランスの乱れに伴う肌荒れを改善する効果が期待でき、特に女性の生理前のニキビに有効とされている漢方薬です。
ストレスをため込むと交感神経が優位になり、皮脂分泌が活発になるため、ニキビが悪化しやすくなります。
漢方を活用して気の流れを整えることでストレスを軽減し、根本からニキビの緩和を目指せるのです。
| ニキビの緩和が期待できる漢方
ニキビの緩和が期待できる漢方として、以下の4つが挙げられます。
・加味逍遥散(かみしょうようさん)
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
ここでは、ニキビの緩和が期待できる漢方として、4つの代表的な漢方薬をそれぞれ解説します。
| 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は、血行を改善し、体内の老廃物の排出を促すことで、ニキビを含む肌トラブルを緩和する漢方薬です。
この漢方は『瘀血(おけつ)』と呼ばれる、血液の流れが悪くなった状態を改善する働きがあり、生理痛や更年期障害がある方にも適しています。
女性のホルモンバランスの乱れによる肌荒れや、生理前に悪化するニキビにもよく処方されます。
また炎症を抑える作用もあり、赤みを伴うニキビの緩和にも効果が期待できます。
| 加味逍遥散(かみしょうようさん)
加味逍遥散(かみしょうようさん)は、ストレスが原因で起こるホルモンバランスの乱れに効果を発揮する漢方薬です。
特にストレスや自律神経の乱れが影響してできるニキビに向いています。
例えば仕事や学校でのストレスがたまり、それが原因でニキビが悪化する場合に有効です。
また加味逍遥散には血行を促進する成分も含まれており、冷え性や肩こりがある方にも適しています。
特に生理前にできるニキビや、更年期のホルモンバランスの乱れによる肌荒れにも効果が期待できます。
さらに抗炎症作用のある生薬が含まれているため、赤く炎症を起こしたニキビを和らげる働きがあるのも特徴です。
精神的な安定をもたらすことで、ストレスによる肌荒れを防ぎ、長期的にニキビができにくい体質へ導いてくれる漢方です。
| 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、冷え性や貧血気味の方に適した漢方薬で、血流を改善して体を温める効果があります。
特に血行不良によるニキビや、乾燥肌による肌荒れが気になる方は検討してみましょう。
血の巡りが悪くエネルギーが不足している状態を改善することで、ホルモンバランスを整え、肌の調子を整えます。
生理不順気味な方、ストレスやホルモンバランスの乱れが原因で起こるニキビ、肌荒れなどにお悩みの方に適した漢方です。
| 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は脂肪代謝を促進し、体内の老廃物を排出する作用を持つ漢方薬です。
皮脂の分泌が多く、便秘がちの方に向いているのが特徴です。
特にオイリー肌で毛穴が詰まりやすいタイプのニキビに効果的で、男性のニキビ症状にもよく使われます。
防風通聖散には利尿作用があるため、体の余分な水分や老廃物を排出する働きが期待できます。
また、胃腸の働きを整える成分も含まれており、腸内環境を改善することで、肌の調子を良くする効果もあるとされています。
便秘がちの方は体内に老廃物が溜まりやすく、それがニキビの原因になることがありますが、防風通聖散を服用することでスムーズな排便を促し、ニキビの改善が期待できます。
さらに、血行促進作用もあるため、体の代謝を高めて健康的な肌へと導いてくれる漢方薬です。
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| ニキビの種類に合わせて漢方薬を選ぶことが大切
ニキビの種類に合わせて漢方薬を選ぶことが非常に重要です。
漢方が効果的なニキビとして以下のようなものが挙げられます。
・皮脂の多いニキビ
・生理により悪化するニキビ
・ストレスや生活習慣の乱れによるニキビ
ここでは上記4つのニキビについてそれぞれ解説します。
| 膿のあるニキビ
膿のあるニキビに用いられる漢方薬として十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)が知られています。
十味敗毒湯のニキビに対する主な作用には過剰な皮脂の抑制、炎症による赤みの鎮静、活性酵素の抑制などがあります。
臨床試験では難治性のニキビの高い改善率が得られた報告や、抗菌薬との併用によって高い改善率が得られた報告などがあり、ニキビに対する効果が期待できます。
脂っこい食事や不規則な生活が原因でニキビが悪化しやすい方は、食生活の見直しとともに漢方を取り入れることで、ニキビができにくい肌環境を整えることができるでしょう。
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| 皮脂の多いニキビ
皮脂の過剰分泌が原因でできるニキビには、脂質代謝を促し、毛穴の詰まりを防ぐ効果のある漢方が良いとされています。
『防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)』は、体内の余分な脂肪や老廃物を排出する働きがあり、皮脂が多くベタつきやすい肌質の方に適しています。
体内の不要なものを排出することで、皮脂バランスを整え、ニキビの発生を防ぐのに役立ちます。
脂っこい食事を好む方や高血圧・便秘・肩こり・むくみなどに悩んでいる方にも適した漢方です。
| 生理により悪化するニキビ
生理前や生理中に悪化するニキビは、ホルモンバランスの乱れが原因となっていることが多いため、女性の体調を整える漢方が有効です。
『桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)』は血行を促進し自律神経を整えることで、ホルモンバランスの乱れに伴う症状を緩和し、生理前に悪化するニキビの改善に効果が期待できます。
ニキビだけでなく、シミ、手足の荒れ、生理不順などの症状にお悩みの方に適した漢方薬です。
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| ストレスや生活習慣の乱れによるニキビ
ストレスや生活習慣の乱れによってできるニキビは、自律神経の乱れや胃腸機能の低下が関与していることが多いため、それらを整える漢方が有効です。
具体的には『半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)』や『半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)』などの漢方薬が適しています。
半夏瀉心湯は胃腸の働きを改善し、腸内環境を整えることで、主に口周りにできるニキビに効果が期待できます。
ストレスが原因でニキビが悪化する場合は、これらの漢方を活用し、心身のバランスを整えることで、根本的な改善を目指すことができます。
| ニキビ治療に漢方を服用するときの注意点
ニキビ治療に漢方を服用するときの注意点は以下の4つです。
・必ず用法・用量を守って服用する
・副作用が生じるリスクを理解しておく
・正しいスキンケアと規則正しい生活習慣を身につける
ここでは上記4つの注意点についてそれぞれ解説します。
| 飲み合わせに注意する
漢方薬は自然由来の成分で構成されていますが、他の薬やサプリメントとの飲み合わせによっては、効果が強まったり、逆に弱まったりすることがあります。
市販薬やサプリメントを服用している場合は、自己判断で漢方を併用せず、必ず医師や薬剤師に相談することが大切です。
また漢方薬を複数種類服用する場合も注意が必要です。
漢方薬を構成する生薬に重複があると、過剰摂取が原因で体調不良を引き起こす場合があります。
麻黄、大黄、附子、甘草は特に注意が必要で、過料投与による交感神経刺激作用(頻脈、高血圧、食欲不振など)や下痢、発汗、動悸などの症状が起こり得ることが確認されています。
| 必ず用法・用量を守って服用する
漢方薬は適切な用法・用量を守ることで、最大限の効果を発揮します。
多く飲めば早く効果が出るわけではなく、過剰に摂取すると体に負担をかけ、副作用のリスクが高まることもあります。
過剰摂取した場合に起こり得る副作用は以下の通りです。
・大黄:下痢
・附子:発汗、動悸、舌のしびれ、食欲不振など
・甘草:偽アルドステロン症
過剰摂取が体によくないのはもちろんですが、逆に自己判断で少ない量を服用すると、十分な効果が得られない場合があるため注意が必要です。
医師の指示を守り、正しい用法・用量で継続して服用するようにしましょう。
| 副作用が生じるリスクを理解しておく
漢方薬は自然由来の成分を使用しているため、西洋薬に比べて副作用が少ないとされていますが、体質によっては副作用が生じることもあります。
例えば今回紹介した桂枝茯苓丸、加味逍遥散、当帰芍薬散、防風通聖散にはそれぞれ以下のような副作用のリスクがあります。
漢方薬 | 主な副作用 |
桂枝茯苓丸 | 過敏症(発疹、そう痒など)、自律神経系の症状(不眠、発汗過多、頻脈、動悸など)、消化器系の症状(食欲不振、胃部不快感、悪心・嘔吐など)、排尿障害など |
加味逍遥散 | 過敏症(発疹、そう痒など)、消化器系の症状(食欲不振、胃部不快感、悪心・嘔吐、腹痛、下痢など) |
当帰芍薬散 | 過敏症(発疹、そう痒など)、肝機能異常、消化器系の症状(食欲不振、胃部不快感、悪心・嘔吐、腹痛、下痢など) |
防風通聖散 | 過敏症(発疹、そう痒など)、自律神経系の症状(不眠、発汗過多、頻脈、動悸など)、消化器系の症状(食欲不振、胃部不快感、悪心・嘔吐など)、排尿障害など |
アレルギー体質の方は配合されている生薬に反応することもあるため、服用を開始する前に成分を確認することが大切です。
万が一服用中に体調が悪くなった場合は、すぐに服用を中止し、医師に相談しましょう。
| 正しいスキンケアと規則正しい生活習慣を身につける
漢方薬を服用することでニキビの原因となる体内環境を整えることができますが、日常のスキンケアや生活習慣も重要な要素となります。
例えば肌を清潔に保つためには、洗顔を優しく行い、保湿をしっかりすることが大切です。
過度な洗顔や強いクレンジングは、逆に肌のバリア機能を弱め、ニキビを悪化させる原因になります。
また睡眠不足やストレス、偏った食生活もニキビを悪化させる要因となるため、規則正しい生活を心がけましょう。
特に脂っこい食事や甘いものを摂りすぎると皮脂の分泌が増えるため、バランスの良い食事を意識することが大切です。
漢方と合わせて、スキンケアや生活習慣を改善することで、より効果的にニキビを予防・改善が期待できます。
| まとめ
漢方はニキビに対しても効果が期待できます。
今回解説したように、ニキビの種類に合った漢方薬を服用することで、ニキビをより改善しやすい体質へと導くことができます。
自分に合った漢方薬を選ぶことが重要です。繰り返しできるニキビに悩んでいる方は、ぜひ医療機関の受診を検討してみてください。
当院では、オンライン診療による医療用漢方薬の処方を行っています。
患者さん一人ひとりに合わせた漢方薬を処方しているため、ニキビにお悩みの方はぜひご相談ください。
参考文献
日本皮膚科学会ガイドライン策定委員会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023
具志 明代 他(2016).標準的皮下治療に抵抗性の痤瘡に対する漢方治療の有効性の検討 67(2). 123-130.
林 伸和(2023).尋常性痤瘡の標準治療とスキンケア 47(3). 203-210.
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